TSJJ 15-6

アンドリュー・キッドマンの美学、阿出川潤インタビュー、大橋海人inシャルガオ島ほか、TSJJ15.6号の読みどころ

3月31日に発売された「ザ・サーファーズ・ジャーナル」日本版15.6号の読みどころを同誌のコントリビューティング・エディターも務める李リョウが紹介。


TSJJ 15.6

#アンドリュー・キッドマンの美学

あなたはサーフィンをどう思ってる? 単純に「スポーツ」だと割り切れるかな。たしかにサーフィンは「運動」だし「競技」っていう側面も否定はできない。でもその一方で、サーフィンにはそれ自体が「アートの表現」になるような、特別な何かが備わっている。そう感じるのは筆者だけだろうか。アートのモチーフとして、サーフィンやそのバックグラウンドを題材にしているアーティストは少なくない。繰り返すけど、そんなスポーツ他にあるかな。

さて、前置きが少し長くなっちゃったけれど、アンドリュー・キッドマンの登場だ。彼の映画『リトマス』は、サーファーがそれまで心の中に秘めていた内省的な世界を、映像で表現することに成功した作品と言えるだろう。 いまでは「オルタナティブ」という言葉は当たり前になったけれど、その潮流の起点をさかのぼってみると、図らずも彼の登場あたりから……そんな気がしてならない。 

やはり彼は特別なトレンドセッターなんだと思う。彼がいま何を考え、どんな作品を残してきたか。興味を持つのはきっとわたしだけじゃないはず。

#インタビュー 阿出川潤

マウイスタイルという言葉があるよね。波のコンデションに合わせて道具を選ぶ、というサーフィンに特化しないスタイル。ウィンドサーフィンもフォイルもカイトも、ときにはガンでビッグウェイブにもチャージ。マウイに住むとそうなってきちゃうみたいですね。その究極がレイアードやカイ・レニーなんかじゃないかな。そのスタイルを千葉で実践している人物が阿出川潤氏です。そもそも彼の父親のテッド阿出川氏は、カリフォルニアのサーフカルチャーを日本にいち早く紹介した人ですからね。その背中を見つめて育っちゃうと普通のサーファーという枠には収まらないです。言い換えればマウイスタイルは、アデガワスタイルでもある。

#ブルーフィールド 三部作

その一、ミッドセンチュリーモダン:サンセットビーチ
ハリソン・ローチの寄稿です。サンセットビーチをサーフするための「一本」を追い求めた結果どうなったか、という顛末です。ジェフ・ハックマンの昔の映像を参考にした、というくだりがあるけど、やはりこだわりの人ですね。そういえば、サーフボードの素材って昔からそんなに変わっていないのに、ずいぶん乗りやすくなっている気がしますね。
でもね~ひとこと言わせてもらうと、ロングボードはサンセットで歓迎されないってことローチ君は知ってるのかなあ。「ロングはマカハに行きな!」って筆者は怒られたことあります。文中にランディ・ラリックに注文したらなんとガンだった…とありますが、深読みするとローカルの無言の回答だったのかもしれない。ちなみにローチ君、ノーリーシュでサンセットビーチをサーフしてます。ノースショアーでは、昔はリーシュしないのが普通だったんですよ。フしてます。

その二、越えた者だけの領域;パイプライン

パイプラインの混雑ぶりは、いまさらですが壮絶です。文中では簡単にパドルウアトできるから、そこが問題なんだって言ってますが、そんなことないです。パイプでのパドルアウトは、本当に大変ですよ。タイミングひとつ逃したら出られません。インサイドでボードが真っ二つなんてこともありえます。さて、この記事はパイプラインでのヒエラルキーというか序列について語られています。顔ぶれがかなり変わったようですね。ヘルメット着用率も増えているみたい。パイプラインでワイプアウトの瞬間を、間近で目撃すると心臓が止まります。

その三、フレームオブマインド;ホノルアベイ

オアフ島からマウイ島へプチトリップ。目指すはホノルアベイ、ここの波はワイメアが大きくなるとちょうど良いサイズになるんだよね。映画「フリーライド」でMRやリノ・アベリアがスーパーセッションを繰り広げたのがここですね。車は崖の上に駐車して、崖を降りていきます。最高の景色が眼下に眺められますよ。ただし波が上がると~ここも混雑しちゃいます。だからもしここでサーフするなら、波の上がり始めがチャンスですね。もしくはピークを過ぎた翌日とか…。
さて、この記事のフォトグは、中国製の二眼レフ、水中でもニコンのフィルムカメラで撮影という暴挙に出ています。マジかよって思いましたね。それでも、波とサーファーそして景色が揃えば良い作品はゲットできるということです。納得

#ファインデイングLB

大橋海人は、最近フランスで優勝したんだよね。おしゃれです。そんな彼がフォトグの高橋賢勇と向かったのがフィリピンのシャルガオ島。 となるとクラウド9のバレル狙いとなりますね、みごと当てたようです。美しい逆光のバレルと、ハードボイルドタッチな紀行文が、まるで一緒に旅をしているような錯覚に陥ってしまいます。 良い波とフォトグ&サーファーのパフォーマンス。それらが過不足なく揃うことで、この記事は成立している。

#言葉はイメージである

アンドリュー・キッドマンのような人もいれば、このデビッド・カーソンのような人もサーフィン界にはいる。やはりこれがサーフィンの不思議。だって、他のスポーツでアーティステイックな人物ってなかなか生まれないよね。そう思いませんか、誰かいた?いないでしょ?

さてデビッド・カーソンはプロサーファーという経歴を持ちながら、グラフィックデザインのアートディレクターとして大成功しました。この人のすごいのはデザインにおけるタブーを無視したところかな、彼が手がけた本は、ページをめくるたびに新鮮な驚きがあってワクワクしたものです(これは筆者の個人的な感想)。かつては米国SURFERのアートディレクターを担当したこともあって、「なんか急に格好良くなったな~」と思ったらそのデザインがこのカーソン氏でありました。今回は彼の最新作品が網羅されています。いかがでしょうか? 作品についての評価はそれぞれだと思いますが、この人は、やはりあるていどの制約があった方が良い作品を生み出すと思う。だからSURFERを飾ったこれまでの作品を、この記事でもっと登場させてもよかったんじゃないかな~。もしかしたら本人がそれを嫌がったかもしれない…「最新の作品を出せって」てね。彼がデザインしたマット・ワルショー著「マーベリクス」とか最高だったなあ。

ps  今号の一枚

巨大なワイメアでボトムターンを決めるマーク・ヒーリー。写真に撮ると、波って小さく見えてしまう不思議がある。だからこのショットは相当なものですね。何ミリのレンズで撮ったかわからないけど、このポジションからって…すごいです。

(李リョウ)


THE SURFER’S JOURNAL (ザ・サーファーズ・ジャーナル)

●世界でも選りすぐりのフォトグラファーによって捉えられた、サーフィンの美しく迫力に満ちた瞬間。
●新旧様々なライターたちに綴られる、本質的でバラエティに富んだストーリー。
最も信頼されるサーフィン誌として世界中のサーファーたちから愛され、書店では買うことができないライフスタイル・マガジン。

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