ペルーを舞台に史上最多57カ国424名の選手が出場したWJSCこと『ISA World Junior Surfing Championship』が現地時間12月14日に終了。
ファイナルデーは前日に入ったウネリが更に強まり、会場のプンタ・ロカスは公式4-5ftレンジのグッドコンディションに恵まれ、各部門のSFとファイナルが行われた。
残念ながら日本代表「波乗りジャパン」はファイナルデーに1名も残れなかったが、連日感動を与えてくれた選手たちの健闘を称えたい。
2連覇を達成したオーストラリア

Photo: ISA/Pablo Franco
昨年のエルサルバドル大会で10年以上ぶりに国別金メダルを獲得したオーストラリアが今年もタイトルを防衛。
今年はU16ボーイズでオーシャン・ランカスターが金メダル、ケイデン・フランシスが銅メダル。U18ガールズでミラ・ココ・ブラウンが銀メダル、U16ガールズでルーシー・ダラーが銅メダルをと個人で4つのメダルを獲得した。
これによりオーストラリアは、通算で20個めのメダル、チームでは通算9個の金メダルを手に入れた。
金メダルを獲得した16歳のオーシャンはR3で危ない場面もあったが、その他のヒートは全てトップ通過でファイナルまで進み、ファイナルでは最後に9.00を出して逆転優勝。17.13のトータルスコアはイベントのハイエストでもあった。
また、銅メダルを獲得したチームメイトのケイデンの9.57もイベントのハイエストシングルスコアとオーストラリア勢の強さが際立っていた。

「ヒートの最初から最後まですべてが頭の中で再生されている。正直、残り数秒というところで諦めかけていた。スコアについては考えてさえいなかった。徹底的に波を攻めて大会に勝つことだけに全力を尽くしていたんだ。今、とても誇りに思っている。トレーニングに取り組めるように友人や家族を後に残して引っ越した。それが全てこの瞬間に繋がった。とても感謝しているよ。チームオーストラリアと共に旅することは、僕の人生で最も魔法のような瞬間の一つだった。素晴らしいチームを代表して金メダルを家に持ち帰ることを誇りに思う」
ファイナルはオーシャンがラウンドハウスを含めたスムースなライディングで8.13をマークすると、チームメイトのケイデンが9.57で応戦。アルゼンチンのチアゴ・パッセリも8.40で続いた。残り45秒、優勝に7ポイント台が必要な場面でオーシャンとチアゴが波を掴み、共にハイスコアを出したが、ランカスターが9.00で勝利を手にした。

Photo: ISA/Sean Evans

Photo: ISA/Jersson Barboza

Photo: ISA/Pablo Jimenez

2つの金メダルを獲得したスペイン

U18はボーイズ、ガールズ共にスペインが金メダルを獲得。
ボーイズのディラン・ドネガンは昨年U16ボーイズで金メダルを獲得しており、史上初の2階級制覇を達成した。
ガールズは昨年のU16ガールズでファイナルに一歩届かなかったソル・ボレリが今年は快進撃を続け、初の金メダルを手に入れた。
スペインは9月にエルサルバドルで開催されたWSGでハニレ・ゴンサレス・エチャバリが初の金メダルを獲得して歴史を塗り替えていたばかり。
「神様、信じられない。信じることができないわ。夢は叶う、私はただそれを言いたい。チームも私もハッピーよ。父親、家族、友人に感謝したい」

Photo: ISA/Jersson Barboza

U18ガールズのファイナルでソルは元メダリスト、オーストラリアのミラ・ココ・ブラウン、フランスのクレマンス・シュルシュ。中国のオリンピアン、スーチー・ヤンと強豪を相手に最初の波で7.00を出してその後もリードを保った。
ミラが6.67、7.93とスコアを伸ばしたが、ソルはそれを上回る8.33を出してミラを抑えた。
ミラは2024年のカッパーを上回る銀メダル、クレマンスは3大会連続の銅メダル。
そして、スーチーは中国初のメダルを獲得した。


U18ボーイズを制したディランはファイナルのために最高の演技を温存していた。
ジェイコブ・ターナー、タイガー・アブボと二人のハワイ代表と昨年メダルを争ったイングランドのルーカス・スキナーとのヒートは慎重な波選びが功を奏した。序盤は8.23を出したルーカスが主導権を握ったが、バックアップを揃えることができず、ディランは1本目で9.00、2本目で8.50。トータル17.50をマークして優勝。
ジェイコブ、タイガーが2位と3位になり、ルーカスは4位でカッパーメダルを獲得した。

一矢報いたアメリカ

団体銀メダルを獲得したアメリカだが、個人でファイナルに残ったのはU16ガールズのベイリー・ターナーのみ。
ペルーのカタリナ・ザリキエイ、オーストラリアのルーシー・ダラー、ハワイのゾーイ・カイナとのファイナルは6ポイントを2本揃えたカタリナが自国の大勢の観客の期待を集めてリードを保った。
しかし、ベイリーは6.30を出して僅か0.20ポイント差で逆転に成功。
アメリカの国別銀メダルに大きく貢献した。

「最高よ。言葉もないわ。本当に本当に嬉しい。チームとの最高の旅行であり続けている。素晴らしい。スコアは正直分からなかった。何本かのスコアが重なっていたので、混乱していたの。結果を知った時はびっくりしたわ。本当に嬉しい。サーフィンは世界で最も好きなもの。USのチームサポートも最高だった」
U16ガールズでの金メダルはアメリカ代表で4人目。
アリッサ・スペンサー、ワールドチャンピオンのケイトリン・シマーズ、パリ五輪金メダリストのキャロライン・マークスと名誉あるリストに並んだ。
なお、金メダルは逃したものの、カタリナはWJSCでメダルを獲得した最初のペルー人になった。

Photo: ISA/Jersson Barboza

ISA会長 フェルナンド・アギーレ氏のメッセージ
世界中から集まった最高のジュニアサーファーたちによる、信じられないほど素晴らしい9日間の戦いを見届けられたことは、私にとって大きな喜びです。
メダルを手にする者もいれば、そうでない者もいますが、ここを去る時は全員がチャンピオンです。
ここプンタ・ロカスにいること自体が贈り物です。
素晴らしい波、仲間との絆、食事、そしてペルーの人々の温かさに感謝したいと思います。
ペルーは当初からISA世界選手権を開催してきた歴史があり、我々は再びここに戻ってこられたことを誇りに思います。
FENTA、ペルー・スポーツ研究所、政府、そしてペルーの人々に感謝します。
『ジュニアサーフィンの国連』とも言えるこの場所にあるのは友情と仲間意識であり、それこそが我々が国へ持ち帰る真の真の財産なのです。
『ISA World Junior Surfing Championship』結果
国別団体結果
1位 オーストラリア
2位 アメリカ
3位 ブラジル
4位 ペルー
…8位 日本

U18ボーイズ
1位 ディラン・ドネガン(ESP)
2位 ジェイコブ・ターナー(HAW)
3位 タイガー・アブボ(HAW)
4位 ルーカス・スキナー(ENG)
…13位 小野里弦
…19位 足立海世
…19位 岡野漣

U18ガールズ
1位 ソル・ボレリ(ESP)
2位 ミラ・ココ・ブラウン(AUS)
3位 クレマンス・シュルシュ(FRA)
4位 スーチー・ヤン(CHN)
…13位 池田美来
…19位 松野杏莉
…19位 高橋結奈

U16ボーイズ
1位 オーシャン・ランカスター(AUS)
2位 ティアゴ・パッセリ(ARG)
3位 ケイデン・フランシス(AUS)
4位 パブロ・ガブリエル(BRA)
…7位 松野太郎
…49位 佐藤賴斗
…73位 髙井汰朗

U16ガールズ
1位 ベイリー・ターナー(USA)
2位 カタリナ・ザリキエイ(PER)
3位 ルーシー・ダラー(AUS)
4位 ゾーイ・カイナ(HAW)
…7位 馬場心
…25位 石井有紗
…49位 草深心虹
ISA公式サイト:https://www.isasurf.org/
(黒本人志)














