(3連覇を達成したフランス) PHOTO: ISA / Pablo Franco

伊藤建史郎が初の金メダルを獲得!『2025 ISA World Para Surfing Championship』終了!

現地時間11月7日、カリフォルニアのオーシャンサイドで開催されていたWPSCこと『2025 ISA World Para Surfing Championship』が終了。

公式4-6ftのパワフルなブレイクで全てのカテゴリーのメダリストが決定。
今年は3つのパーフェクト10が記録された歴史的なイベントになった。

日本代表は3つのメダルを獲得

(念願の金メダルを獲得した伊藤建史郎)
PHOTO: ISA / Pablo Franco

今年のWPSCには8名の日本代表が出場。

昨年のメダリスト、奈良優、勝倉直道が今年も活躍して、共に銅メダルを獲得。
更にMen’s Stand 2では、48歳の伊藤建史郎が劇的な逆転で初の金メダルを獲得した。

伊藤建史郎は過去10回のWPSC大会のうち8大会に出場。
今回が5度目のMen’s Stand 2ファイナルとなったが、遂に感動的な初優勝を果たした。

団体では昨年と同じ6位となった。

(伊藤建史郎)
PHOTO: ISA / Sean Evans
(勝倉直道) PHOTO: ISA / Jersson Barboza

フランスが3連覇を達成

PHOTO: ISA / Pablo Franco

団体ではフランスが合計12個のメダルを獲得して史上初の3連覇を達成。
金メダル5個に加え、銀2個、銅2個、カッパー3個を獲得し、総獲得メダル数でアメリカに並んだ。

アメリカは3年連続で銀メダルに甘んじ、ブラジルが銅メダル、オーストラリアがカッパーメダルを獲得した。

オーストラリア代表がメダルを分け合う

(ジョエル・テイラー)
PHOTO: ISA / Sean Evans

Men’s Prone 1は、2023年にオーストラリア代表のジョエル・テイラー、カイ・コレスが登場して以来、互いに勝利を競い合ってきた。

45歳の元プロボディボーダー、ジョエルと18歳のカイは年齢もサーフィンのスタイルも全く違うが、今年も二人の争いとなり、共にファイナルで10ポイントを出して他を圧倒。
特にジョエルはレフトの波で完璧なラインを描き、トータルでも19.83とWPSC史上2番目のスコアを出し、2023年に初めてタイトルを獲得した以来の王座を取り戻した。

「もう一度ワールドタイトルを獲得できて本当に嬉しい。カイのようなライバルがいて、自分もスポーツも次のレベルに押し上げられるのが最高だね。社会では『インスピレーション』という言葉がよく使われるけど、今日は見ていて本当に刺激的だった。私たちはそれをパラリンピックで世界に示したいし、次のチャンスは母国オーストラリア、ブリスベンになる。その頃には52歳になるけど、全力で挑んで国を代表したいと思う」
ジョエル・テイラー

(ジョエル・テイラー)
PHOTO: ISA / Sean Evans

「良いスコアを出せたけど、ジョエルに残り14分でコンボにされてしまった。良い波を探そうと思い、最後の1分でその波を見つけたんだ。正直何が起こったのか自分でも良く分からない感じだった。波に乗って高く飛んで着地して、さらに次のセクションを決めた。でも、本当にクレイジーだったよ」
カイ・コレス

(カイ・コレス)
PHOTO: ISA / Sean Evans

その他、スペインのサラ・アルマグロ、フランスのピエロ・ガリアーノとギヨーム・コラン、ブラジルのルチアーノ・ネム・シルヴェイラが2度目の金メダル獲得。

Men’s Sit、41歳のギヨームは、アメリカのジェフ・マンソンとの僅か0.20ポイント差の接戦を制してタイトルを防衛。
ジェフも2度の金メダリストと強豪同士の争いとなった。

ガンと戦い6個目を金メダルを手に入れたカナダのヴィクトリア・ファイゲ

(ガンを克服して記録に並んだヴィクトリア・ファイゲ)
PHOTO: ISA / Pablo Franco

今年は4名の選手が金メダル獲得数を伸ばした。

ウェールズのリウェリン・“スポンジ”・ウィリアムズ、ブラジルのダヴィ・テイシェイラ、プエルトリコのアレリ・メディナが4個目の金メダルを獲得。
カナダのヴィクトリア・ファイゲはパラサーフィン記録に並ぶ6個目の金メダルを手に入れた。

40歳のヴィクトリアは、過去3年間に渡りガンと戦いながら、記録保持者であるデンマークのブルーノ・ハンセンに並んだ。
彼女が戦ったWomen’s Kneelは最も多くの選手が集まったカテゴリーで、年々パフォーマンスを高め続けている。

「本当に現実のこととは思えない。光栄よ。本当に激しい道のりだった。私の初めてのISAは2016年。モノ(マーク・スチュワート)が素晴らしいライディングをしているのを見て、自分ももっと上手くなりたいと刺激を受けたの。とにかく、メンズに追いつこうと頑張っている。本当に楽しい大会だったわ」

16歳の金メダリスト

(アレリ・メディナ)
PHOTO: ISA / Pablo Franco

視覚障害のWomen’s VI 2では、プエルトリコの16歳、アレリが3度の金メダリストであるイングランドのメリッサ・リードと争い、2部門で4度目の連続ワールドタイトルを圧倒的な形で獲得。

8ポイントに加え、同部門では今大会初のパーフェクト10を出して2位以下をコンビネーションに追い込んだ。

「今は涙をこらえている。本当に嬉しい。父や母、プエルトリコのみんな、スポンサーの方々、全ての人のサポートなしでは達成できなかった。あの波は自分の目から見ても最高だったし、全力を尽くたわ。ここまでの4年間、毎日トレーニングして鍛えられた。それがようやく実を結んだ瞬間よ」

3名が初の金メダルを獲得

(トーマス・ダ・シルバ)
PHOTO: ISA / Sean Evans

日本の伊藤建史郎を始め、ブラジルのダヴィ・リマ、フランスのトーマス・ダ・シルバが初の金メダルを獲得。

15歳のダヴィはデビュー戦、24歳のトーマスはMen’s VI 1で3年連続銀メダルだったが、ライバルであるオーストラリアのカーク・ワトソン、ブラジルのエリアス・“フィグ”・ディアルをファイナルで抑え、今年遂に頂点に立った。

完全な視覚障害の彼だが、大会を通じてオープンフェイスで攻め、ターンのコンボで勝ち続けた。

「本当に嬉しい。パドリングの時は全力で臨んだ。昨日より簡単ではなかったけど、今日は最終日だったので全力を出し切った。日々、マルティニークやバスク、世界中で友達とともにサーフィンやフィジカルトレーニングに取り組んでいる。支えてくれる皆やコーチに感謝している」

ISA会長のフェルナンド・アギーレ氏のスピーチ

PHOTO: ISA / Jersson Barboza

オーシャンサイドで今週目にしたものは、本当に特別なものでした。
サーフィンのレベル、仲間意識、喜び、どれも素晴らしかった。ここはパラサーフィンの国連のようで、毎年心が温まります。
10年間、このムーブメントを共に築いてきました。選手たちはスポーツを新たな高みへ押し上げ、世界がそれを見ています。

私たちはパラサーフィンの発展と成長にこれまで以上にコミットしており、スポーツの未来に大きな期待を抱いています。
パラリンピックへの参加という夢は、今も生き続けています。
2032年ブリスベンを希望と決意を持って目指しています。すべての選手に祝福を。
メダルを持ち帰る選手は一部ですが、ここにいるすべての皆さんが自国を代表しているチャンピオンです。

パラサーフィン万歳!

『2025 ISA World Para Surfing Championship』結果
■団体
Gold – France
Silver – USA
Bronze – Brazil
Copper – Australia

■個人
Men’s Sit
Gold – Guillaume Colin (FRA)
Silver – Jeff Munson (USA)
Bronze – Chris Oberle (USA)
Copper – Juan Manuel Camacho Solano (CRC)

Men’s VI 1
Gold – Thomas Da Silva (FRA)
Silver – Kirk Watson (AUS)
Bronze – Ben Neumann (GER)
Copper – Elias ‘Figue’ Diel (BRA)

Men’s VI 2
Gold – Pierrot Gagliano (FRA)
Silver – Luis Nicolas Medina (CHI)
Bronze – Roy Calderon (CRC)
Copper – Jack Jackson (AUS)

Women’s VI 2
Gold – Alelí Medina (PUR)
Silver – Melissa Reid (ENG)
Bronze – Ling Pai (CAN)
Copper – Sarah Gibson (AUS)

Open Stand 3
Gold – Luciano Nem Silveira (BRA)
Silver – Eric Dargent (FRA)
Bronze – Naomichi Katsukura (JPN)
Copper – Stella Papetti (ITA)

Men’s Prone 2
Gold – Davi Teixeira (BRA)
Silver – Jose Martinez (USA)
Bronze – Mathius Vanderhoogth (CRC)
Copper – Cliff Gralton (AUS)

Women’s Prone 2
Gold – Sarah Almagro (ESP)
Silver – Beatrice Duran (FRA)
Bronze – Celine Roulliard (FRA)
Copper – Hannah Dines (ENG)

Men’s Prone 1
Gold – Joel Taylor (AUS)
Silver – Kai Colless (AUS)
Bronze – Cleuson Soares (BRA)
Copper – Bruno Hansen (DEN)

Men’s Kneel
Gold – Llywelyn ‘Sponge’ Williams (WAL)
Silver – Dijackson Santos (BRA)
Bronze – Juan Martín Díaz Martínez (MEX)
Copper – Maxime Cabanne (FRA)

Women’s Kneel
Gold – Victoria Feige (CAN)
Silver – Vera Quaresma (BRA)
Bronze – Emma Dieters (AUS)
Copper – Emmanuelle Blanchet (FRA)

Men’s Stand 1
Gold – Davi Lima (BRA)
Silver – Ant Smyth (RSA)
Bronze – Suguru Nara (JPN)
Copper – Camilo Abdula (POR)

Men’s Stand 2
Gold – Kenjiro Ito (JPN)
Silver – Morgan Galeffi (ITA)
Bronze – Nachman Yariv Balulu (ISR)
Copper – JP Veaudry (RSA)

ISA公式サイト:https://www.isasurf.org/

(黒本人志)

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