現地時間11月6日、エルサルバドルのエル・スンサルでレギュラーシーズンのトップ8によるワールドタイトルをかけてのイベント、『Surf City El Salvador Longboard Championships』が開催。
メンズはカイ・エリース-フリント(AUS)が初のワールドタイトル獲得。
ウィメンズはマッチ1から勝ち上がってきたレイチェル・ティリー(USA)が2年連続、3度目のタイトルを手に入れた。
オーストラリア通算8つ目のタイトル

PHOTO: © WSL/Thiago Diz
今年のハンティントンビーチでの開幕戦で優勝して大きな話題になっていたバイロンベイを拠点に活動する29歳のカイはマッチ4で昨年4度目のワールドタイトルを獲得したテイラー・ジェンセン(USA)に圧勝。
最後はシェアライドを披露してこの特別なイベントを盛り上げていた。

PHOTO: © WSL/Emma Sharon
タイトルマッチではベテランのエドゥアルド・デルペーロ(FRA)と対戦。
No.1シードのエドゥアルドは最初のヒートで勝てば初のワールドタイトル獲得のチャンスがあったが、セルフシェイプのボードで8.17、9.50と2本続けてハイスコアを出したカイのペースとなり、エドゥアルドは6ポイント止まりで敗退。

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2ヒート目もカイのリズムは崩れず、序盤に勝負を決めてしまった。
1本目で8.67で先行すると次の波で7.33を重ね、エドゥアルドをニード10ポイントに追い込んで勝利。
テクニカルなノーズライドにフルレールのターン、ドロップニーとエル・スンサルのパーフェクトなブレイクで彼のライディングは優雅であり、勇敢だった。
海から上がった後はハンティントンビーチでの優勝の場面と同じ、コーチのCJ・ネルソンが担ぎ役になり、本人よりもタイトル獲得を喜んでいた。





「言葉にならないね。CJと家族の支えに心から感謝している。自分がこの人生でいろんなものを犠牲にしてきた中で、ずっと側にいて支えてくれたことが本当に大きいんだ。本当に長い旅だった。自分にあまり自信がなくて、いつも、もっと良くできると全てを見直してしまう。ボードデザインもそう。常に改善しようとする性分なんだ。もっと良くなりたい、もっと上手くなりたい、最高を目指したい。そして、自分が作り得る最高のボードでサーフィンしたい」
CT同様に多くのワールドチャンピオンを生んでいるオーストラリア。
4xのナット・ヤングを始め、近年ではハーレー・イングルビー、ハリソン・ローチに続き、通算8つ目のタイトル。
オーストラリアのロングボード史に新たなページを刻む勝利となった。


3xの記録に並んだレイチェル

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ウィメンズサイドは昨年に10年ぶり2度目のワールドタイトルを獲得した27歳のレイチェルがマッチ1のブザービーターから勢いに乗り、4ヒートを勝ち上がってアヴァロン・ガル(USA)とのタイトルマッチに挑んだ。
最初のヒートはレイチェルが7.00で先制。更に8.00を出してトータル15.00でアヴァロンをコンビネーションに追い込んだ。
アヴァロンも7.77を返したが、レイチェルは7.20とバックアップを伸ばして勝利を収めた。

PHOTO: © WSL/Thiago Diz

2ヒート目は潮が上げて波数が少なくなっていた。
序盤、アヴァロンのプライオリティミスを突いてレイチェルが7.50をマーク。アヴァロンは4.67とレイチェルが上回っていたが、その後はセットが止んでしまい小康状態に…。
終盤、アヴァロンがバックハンドで見事なノーズライドを披露。7.17をスコアして逆転に成功するが、レイチェルが6.00を返して逆転。
最後にチャンスが訪れたアヴァロンは5.37とスコアが伸びず、レイチェルのワールドタイトルが決まった。



「まるで夢みたいよ。本当に疲れたわ。最後のヒートでは、今日一日の疲れが一気に押し寄せてきてしまい、“もうこのヒートで決めたい”って心の中でずっと思っていた。でも、頑張ってきて本当に良かったわ。言葉が出ない。3度のワールドタイトルを持っているホノルアとソレイユにとても刺激を受けてきた。ずっとそのレベルに届きたいと思って努力してきたの。スンサルもエルサルバドルも大好きよ。今日ここに来る時は、全く期待していなかったし、まさか自分が結果を出せるなんて思ってもいなかった。最後のヒートに臨むとき、“3度目が本当にあり得るんだ”って思いながら、全てを神様に委ねた。今日は一日中、神様と話していたわ。最初のヒートでのブザービートの瞬間からずっと祈り続けていて、神様は次々とチャンスを与えてくれた」
2年連続、3度目のタイトルを獲得したレイチェルは、ホノルア・ブロムフィルド(HAW)、ソレイユ・エリコ(USA)の記録に並んだ。

吉川広夏はキャリア最高の5位でシーズンを締めくくる

今シーズン、ベルズでファイナル進出の2位となった吉川広夏はマッチ2でレイチェル・ティリー(USA)、クロエ・カルモン(BRA)と対戦。
後半にヒートのハイスコア8.43を出したが、バックアップスコアで上回ったレイチェルに僅か0.31ポイント差で敗れ、惜しくもマッチ3進出を逃した。
それでもキャリア最高のランキング5位でフィニッシュ。
ベルズで優勝争いに加わった経験、チャンピオンシップの舞台でエクセレントスコアを出せたことは、今後の大きな自信につながるだろう。
2025年 ロングボードツアー最終ランキングトップ5
1位 カイ・エリース-フリント(AUS)
2位 エドゥアルド・デルペーロ(FRA)
3位 テイラー・ジェンセン(USA)
4位 デクラン・ワイトン(AUS)
5位 マックス・ウェストン(AUS)
…15位 井上鷹
ウィメンズ
1位 レイチェル・ティリー(USA)
2位 アヴァロン・ガル(USA)
3位 ソレイユ・エリコ(USA)
4位 ホノルア・ブロムフィルド(HAW)
5位 吉川広夏
…12位 田岡なつみ
WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/

(黒本人志)






















