(ファイナリスト) PHOTO: © WSL/Pat Nolan

ソーヤ・リンドブラッド&リーバイ・スロースンが優勝!大原洋人が3位!『Lexus US Open of Surfing』最終日

カムチャツカ半島沖で発生した地震の影響でカリフォルニアにも津波警報が発令され、1日短縮された4日間とスケジュールが詰め込まれた今年のCS第3戦『Lexus US Open of Surfing』が現地時間8月3日の日曜にファイナルデーを迎えた。

イベント後半にかけて南ウネリが強まる傾向となり、ファイナルデーのハンティントンビーチは公式3-4ftレンジから6ftのビッグセットも入る見応えあるクライマックスになった。

速報でもお伝えしたが、大原洋人と五十嵐カノアと二人の日本人選手が残ったため、ライブ配信をかじりついて観た方も多かったのでは?

残念ながら表彰台には上がれなかったものの、今シーズンから結束力をより高め、チームとして一丸となってCSを戦っている「波乗りジャパン」の成果が出た1戦だった。

(3位になった大原洋人)
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(五十嵐カノア)
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2度目の優勝を飾った19歳のソーヤ

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ウィメンズサイドは19歳のソーヤ・リンドブラッド(USA)と14歳のティヤ・ゼブラウスキ(FRA)がファイナルに残った。
グーフィーフッターのソーヤとレギュラーフッターのティヤは狙うピークも異なり、まずはティヤが開始直後に5.67、6.67を立て続けにスコアしてスタート。

ソーヤは4.83に加え、慎重に波を選び、バックハンドで6.50を出して差を縮めると今度はフロントサイドで6.23を出して逆転。ティヤもフロントサイドで5.90を返すが、ニードスコアには達せず。更にソーヤはクローズセクションでの1マニューバーで6.67を出してティヤを引き離す。
ニード6.51に追い込まれたティヤ。終盤はプライオティを持ったソーヤにブロックされ、ポテンシャルがあるセットも入らず、終了のホーンが鳴った。

「最高の気分よ。初優勝は予期せぬものだったけど、今回はプレッシャーを感じたわ。凄く良いサーフィンをしていたティアにおめでとうと言いたい。家族の目の前で優勝できて本当に嬉しい。私は確実にサーファーとして成長したと思う。最初の優勝でCTに上がり、キャリアの土台を築いた。今回の勝利は特に特別に感じているの。なぜなら一度CTのカットで落ちてしまった後の復活だから。もしカットされなければファイナル5入りを狙えたと思うので、今回の優勝は良いリベンジになったわ」

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2023年に今イベントで優勝して2024年にCT入りを果たしたソーヤ。

ルーキーイヤーはマーガレットリバー、ブラジルで2位に入るなど成功してルーキー・オブ・ザ・イヤーも獲得したが、2025年はミッドシーズンカットでCS落ちに…。
2026年はウィメンズ枠の増加によってクオリファイが決まっているが、CSでチャレンジを続け、サリー・フィッツギボンズ(AUS)、コートニー・コンローグ(USA)、ブレット・シンプソン(USA)、そして、五十嵐カノアに並ぶUSオープンでの2度目の優勝を飾った。

「この一年間、一生懸命努力してきたけど、大会ではなかなか結果が出ず、落ち込んでいたわ。今は本当に嬉しい。努力が報われた気がする。応援してくれた皆さんに感謝している。毎日一緒に来てくれた家族にもありがとうと言いたい」

ランキングトップに立った14歳

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14歳とは思えない完成されたスタイルで波に乗り続け、最後はメイクこそできなかったが、エアーリバースまで披露したティヤ。
ファイナルデーはナディア・エロスタルベ(EUK)とのQFで9.00もスコアするなど存在感を十分に示していた。
なお、フランスも日本同様にチームとしてCSに挑んでおり、パリ五輪の成功を支えた元CT選手のジェレミー・フローレスが監督を務めている。

2024年に始めて出場したポルトガルでのCSで2位になり、2025年は3位、5位、2位と驚異的な結果を重ね、遂にランキングトップに立った。
2024/2025年のCSは残り4戦あるが、クオリファイはほぼ確実と言えるだろう。

「とても嬉しい。CSランキング1位になれたし、ファイナルに進めて本当にハッピーよ。昨年のエリセイラで準優勝した後、もっと良い成績を出したいと思っていた。今シーズン良いスタートが切れてとても満足している。この調子で続けていきたいわ。今年の目標はCTクオリファイ。今はトップ5に留まり、夢を叶えたいと思っている」

CS初優勝を決めたリーバイ・スロースン

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メンズサイドのファイナルは22歳のリーバイ・スロースン(USA)と24歳のマテウス・ハーディ(BRA)とのカードとなり、序盤からリーバイが大きなエアーリバースを成功させて7.33をスコア。5ポイント台を重ねてリードを握ったマテウスだが、リーバイがバックハンドの2ターンコンボで6.17を出して逆転。

ニード7.93に追い込まれ、忙しく波に乗りまくっていたマテウス。最後の最後にフロントサイドのエアーリバースを成功させ、盛大なアピール。正気に戻り、ハンティントン名物のパンピングでインサイドまで繋いでフィニッシュまでメイクしたライディングはヒート終了後もなかなかスコアが出なかった。
黒一色のチームマテウスと一緒に勝利を願うが、残念ながら7.70と僅かに届かず、リーバイがCS初優勝を決めた。

「この瞬間のためにキャリアを通して懸命に努力してきた。生まれてからずっとUSオープンを観てきたけど、まさか自分がここに立てるなんて夢にも思っていなかった。マテウスとファイナルで戦うのは本当に厳しかった。彼はとても上手いサーファーで、一瞬も油断できない。最後の波は見た目は悪かったけど彼はほぼ決めていたよね。今は感情が溢れ出ている。この一週間はずっと冷静でいようと努めてきた。ここでは何度もサーフィンしてきたし、良いサーフィンに集中することだけを考えていたんだ。結局は自分自身に集中し、自分を信じて全てを信頼することが大事だと実感した。まだ信じられないよ」

イベント前は20位だったリーバイが4位に、12位だったマテウスが2位まで浮上。
トップは開幕戦で優勝したジェイコブ・ウィルコックス(AUS)が維持している。

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念願のクオリファイに近づいたマテウス

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優勝は逃したものの、イベントを通して見るとエアー、ターン共に最高の出来だったマテウス。
ディミトリ・プーロス(USA)とのQFでは、9.50のハイエストスコアも出していた。

2018年、17歳でワールドジュニアを制した後、簡単にクオリファイするかと予想されていたマテウスだったが、あと一歩のところでクオリファイを逃し続けていた。

今年はイベント直前にジュリアン・ウィルソンの「Rivvia PROJECTS」からのスポンサーも決定。
大原洋人と同じチームメイトにもなり、まだシーズン序盤ながらランキング2位で念願のクオリファイが現実的になってきた。

「優勝はできなかったけれど、サーフィン自体は勝ったと思う。リーバイとのファイナルは素晴らしい戦いだった」家族や友人たちと共にここで過ごせたことに感謝しているよ。本当に最高の時間だった。勝ちたかったけど、今日はリーバイの日だったと思う。今年の残りのシーズンに向けて準備はできている。これまで何度もクオリファイにあと一歩まで迫っているので、ジンクスを気にせず今まで通りやり続けたい。スポンサーの皆さんにも感謝の気持ちで一杯。残りも全力で挑むよ」

PHOTO: © WSL/Pat Nolan

次の第4戦は9月29日〜10月5日にポルトガルで開催される『Ericeira Pro』

『Lexus US Open of Surfing』結果
1位 リーバイ・スロースン(USA)
2位 マテウス・ハーディ(BRA)
3位 マイケル・ロドリゲス(BRA)、大原洋人(JPN)
5位 ディミトリ・プーロス(USA)、五十嵐カノア(JPN)、タロウ・ワタナベ(USA)、ケイド・マトソン(USA)

ウィメンズ
1位 ソーヤ・リンドブラッド(USA)
2位 ティヤ・ゼブラウスキ(FRA)
3位 ブリッサ・ヘネシー(CRI)、アネット・ゴンサレス・エチャバリ(EUK)
5位 ヴァヒネ・フィエロ(FRA)、ソフィー・マカロック(AUS)、ナディア・エロスタルベ(EUK)、ヨランダ・ホプキンス(POR)

Lexus US Open of Surfing Women’s Final Results:
1 – Sawyer Lindblad (USA) 13.17
2 – Tya Zebrowski (FRA) 12.57

Lexus US Open of Surfing Men’s Final Results:
1 –
 Levi Slawson (USA) 13.50
2 – Mateus Herdy (BRA) 13.27

Lexus US Open of Surfing Women’s Semifinal Results:
HEAT 1: Sawyer Lindblad (USA) 10.07 DEF. Brisa Hennessy (CRC) 9.50
HEAT 2: Tya Zebrowski (FRA) 12.40 DEF. Annette Gonzalez Etxabarri (EUK) 11.16

Lexus US Open of Surfing Men’s Semifinal Results:
HEAT 1: Mateus Herdy (BRA) 13.04 DEF. Michael Rodrigues (BRA) 11.56
HEAT 2: Levi Slawson (USA) 13.43 DEF. Hiroto Ohhara (JPN) 11.93

Lexus US Open of Surfing Women’s Quarterfinal Results:
HEAT 1: Brisa Hennessy (CRC) 12.53 DEF. Vahine Fierro (FRA) 10.33
HEAT 2: Sawyer Lindblad (USA) 12.00 DEF. Sophie McCulloch (AUS) 9.84
HEAT 3: Tya Zebrowski (FRA) 15.10 DEF. Nadia Erostarbe (ESP) 13.50
HEAT 4: Annette Gonzalez Etxabarri (EUK) 12.93 DEF. Yolanda Hopkins (POR) 12.50

Lexus US Open of Surfing Men’s Quarterfinal Results:
HEAT 1: Mateus Herdy (BRA) 16.33 DEF. Dimitri Poulos (USA) 14.57
HEAT 2: Michael Rodrigues (BRA) 12.76 DEF. Kanoa Igarashi (JPN) 12.37
HEAT 3: Hiroto Ohhara (JPN) 12.20 DEF. Taro Watanabe (USA) 10.07
HEAT 4: Levi Slawson (USA) 15.33 DEF. Kade Matson (USA) 14.20

WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/

(黒本人志)

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