PHOTO: © WSL/Pat Nolan

アヴァロン・ガル&カイ・エリース-フリントが優勝!『Lexus US Open of Surfing』最終日

現地時間7月29日、カリフォルニア・ハンティントンビーチで開催されていた『Lexus US Open of Surfing』が終了。
今年はCSと同じイベント名でLTが開催され、最終日はQFからスタートしてファイナルまで進行。
2025年LTの最初の勝者が決定した。

昨年はテイラー・ジェンセン(USA)とレイチェル・ティリー(USA)が優勝して、そのままワールドタイトルも獲得したが、テイラーはファイナルでチャンスを逃し、レイチェルはQFで敗退した。

22歳のアヴァロン・ガルがLT初優勝

PHOTO: © WSL/Kenny Morris

4日連続で開催されたLT開幕戦は連日同じようなスモールコンディション。
朝はクリーンなフェイスでスタートして日中は風の影響が入り、最終日もそれは変わらず。
翌日から始まるCSは少しだけサイズアップする予報だが、基本的にスモールコンディションでの戦いになりそう。
久々に五十嵐カノアがシード選手として出場して最初のヒートで西慶司郎と当たるので、要注目!

ウィメンズサイドは同じカリフォルニアでもラグナビーチ出身のアヴァロン・ガル(USA)とマリブ出身のソレイユ・エリコ(USA)がファイナルに残った。
Round of 16で田岡なつみを倒したアヴァロン、ファイナルデーはQFでケリス・カレオパア(HAW)、SFでマリア・イラガン(USA)を抑え、ソレイユとのファイナルでは、3ポイント止まりだったソレイユに対して6ポイント台を2本まとめてトータル13.50で圧勝した。

PHOTO: © WSL/Kenny Morris

2022年の北米リージョナルのチャンピオンでもあるアヴァロンは2025年をシーズンワイルドカードで出場。
10代から戦っている世界の舞台で念願の初優勝を手に入れた。

「何て言ったら良いか分からない。本当に最高の友達に恵まれていて、彼らなしではこんなに特別な瞬間は訪れなかった。みんなにありがとうと言いたいわ。正直、あんなに長くフラットな状態が続くとは思わなかったけど、本当に嬉しい。これまで努力してきた自分に言えるなら、“一瞬一瞬を楽しんで”って伝えたい。ママとパパ、そして素晴らしい友達のみんなに感謝する。みんながいてくれたからこそ、ここまで来れたわ」

PHOTO: © WSL/Pat Nolan

ファイナルはグーフィーフッターのアヴァロンが開始直後にレフトの波でハングファイブをメイクして6.67をスコア。ファイナルのスコア基準を示し、更に6.83を重ねてソレイユをニード9.90に追い込む。2年連続でファイナル進出を決めたソレイユだが、逆転のチャンスは訪れなかった。
それでも2024年ランキング2位で3度のワールドタイトルを持つソレイユは、チャンピオンのレイチェルに差を付けて次のベルズ戦に挑む。

「凄く楽しかっわ。友達や家族がずっと来てくれて、応援してくれたの。本当に感謝している。ファイナルで波が悪くなってしまったのは残念だったけど、2位になれて嬉しい。これからも戦い続けるし、ベルズとアブダビの試合も楽しみよ。去年はケガでアブダビを逃してしまったので、今年は参加できることが嬉しい。まだまだ続けていきたいわ」

PHOTO: © WSL/Emma Sharon

クラシックスタイルの勝利

PHOTO: © WSL/Emma Sharon

メンズサイドはディフェンディングチャンピオンであり、昨年義父のナット・ヤングに並ぶ4xを達成したテイラー・ジェンセン(USA)と長髪でガトへロイのボードを操るヒッピー的なカイ・エリース-フリント(AUS)との対照的な二人のロガーがファイリストに選ばれた。

スタイルもテイラーが軽い板でモダンマニューバーとのミックスに対してカイは重い板でのクラシックと対照的。

PHOTO: © WSL/Kenny Morris
PHOTO: © WSL/Emma Sharon

序盤は試合巧者のテイラーが6.83をスコアして流れを作ったが、ヒート中盤にカイが5.83と4.83を重ねて逆転に成功。後半にテイラーがバックサイドでノーズライディングとラッピングカットバック。このライドで僅かなリードを奪ったが、カイは6.33をスコアして再逆転に成功。更にファイナルのハイスコアとなる7.50を出してトータル13.83でLT初優勝を成し遂げた。

優勝後はTJことテイラーとハグを交わし、コーチのCJ・ネルソンに担がれ、ウィメンズで2位になったソレイユがウィニングボードを運んでいた。

PHOTO: © WSL/Kenny Morris

「テイラーには本当に敬意を表したい。彼は本当にタフな競争相手だよ。自分は何本か波を見つける必要があった。何度か本気で自分の内側から力を引き出そうとしている瞬間があり、とにかく集中し続けるように自分の中のちょっとした集中ツールを思い出した。我慢強く、でも気持ちを高めて臨もうとした。だから、今この舞台に立てて嬉しいよ」

「さっき“自分の内側から力を引き出した”って話したけど、その瞬間には何を思い出していたの?何を頼りにしてたの?」

「多分、自分の頭の中の奥に、いろんな出来事をしまってある引き出しみたいなものがあって。たとえば後悔してることとか、もっと上手くやりたかったこととかね。そういうのを見返して、『自分はもうあの頃の自分じゃない、こういう人間になりたいんだ』って思いながら挑んでる。流れを変えようとしてる、っていう感じかな。で、そういうところから自信を見つけられたと思うよ」

「今日のあなたのテーマは“もし全てがうまくいったら?”、“もし願った通りに現実になったら?”というものだったよね。そして、本当に叶った。あなたは2025年のUSオープンのチャンピオン。その言葉を私から聞いて、どんな気持ち?」

PHOTO: © WSL/Pat Nolan

「実はそれ、ちょうど昨夜考えてたんだ。“もし本当に勝ったら、どんな気持ちなんだろう?”って。でも、その時は正直あまりピンと来てなくて。でも今は凄く支えられているって感じる。足元には良いボードがあって、それも凄く満足してるし、サーフボードの調子も良い方向に行っていて、本当に嬉しい。ここにいられて幸せだよ。それに、母もサプライズで来てくたんだ。今日はちょっと感情的な1日になった。本当に最高さ」

「ファイナルに母親が来てくれたのね?」

「はい。僕はただの小さな男の子だったけど、成長して、母がずっと信じてくれていたようなことを実際に成し遂げられた。だから、それを母のためにもできたっていうのが凄く嬉しい。そして父も、ずっとそばにいてくれて、本当に大きな原動力だった。今の僕があるのは父のおかげでもある。本当に両親のサポートに感謝している。ここに一緒にいられてよかった」

「ワールドロングボードツアーでの初優勝、おめでとう。でもカイ、これはきっとあなたの最後の勝利にはならない気がするわ」

「ありがとう!最高だよ!」

PHOTO: © WSL/Pat Nolan
PHOTO: © WSL/Pat Nolan

5度目のタイトルを狙うテイラー

PHOTO: © WSL/Pat Nolan

41歳のベテラン、テイラーは最後に敗退したものの、イベントを通して見ると際立っていた。
昨年、ファイナルを戦ったロジェリオ・Jr・エスクイエヴェル(PHL)とのSFでは8.17のエクセレントスコアを出してビーチに集まった大観衆を熱狂させ、4年連続のUSオープンファイナル進出を果たしていた。

「最高の気分さ。子どもたちの前でこうして戦って、パパが活躍する姿を見せられたことが本当に嬉しい。明日は朝4時半に起きることも、渋滞にはまることもない。家に帰ってリラックスして、次のベルズ戦に向けて気持ちを整えるよ」

次の第2戦は9月17日〜21日にオーストラリアのベルズビーチで開催される『Bioglan Bells Beach Longboard Classic』
『Lexus US Open of Surfing』は翌日からCSがスタート予定。

ネクストコールは現地時間7月30日6時50分(日本時間同日22時50分)で、15分後にスタート予定。

『Lexus US Open of Surfing』結果
1位 カイ・エリース-フリント(AUS)
2位 テイラー・ジェンセン(USA)
3位 ジョン・マイケル・ヴァン・ホーエンシュタイン(HAW)、ロジェリオ・Jr・エスクイエヴェル(PHL)
5位 スティーブン・ソーヤー(ZAF)、コール・ロビンス(USA)、デクラン・ワイトン(AUS)、カニエラ・スチュワート(HAW)

ウィメンズ
1位 アヴァロン・ガル(USA)
2位 ソレイユ・エリコ(USA) 
3位 クロエ・カルモン(BRA)、マリア・イラガン(USA)
5位 ナタリア・ヴンダーリッヒ(HAW)、ソフィア・コーヘーン(HAW)、レイチェル・ティリー(USA)、ケリス・カレオパア(HAW)

Lexus US Open of Surfing Women’s Longboard Semifinal Results:
HEAT 1: Soleil Errico (USA) 13.23 DEF. Chloe Calmon (BRA) 11.20
HEAT 2: Avalon Gall (USA) 9.83 DEF. Malia Ilagan (USA) 9.43

Lexus US Open of Surfing Men’s Longboard Semifinal Results:
HEAT 1: Kai Ellice-Flint (AUS) 11.83 DEF. John Michael Van Hohenstein (HAW) 11.33
HEAT 2: Taylor Jensen (USA) 13.84 DEF. Rogelio Jr Esquievel (PHL) 12.77

Lexus US Open of Surfing Women’s Longboard Quarterfinal Results:
HEAT 1: Soleil Errico (USA) 9.20 DEF. Natalia Wunderlich (HAW) 8.84
HEAT 2: Chloe Calmon (BRA) 15.00 DEF. Sophia Culhane (HAW) 8.83
HEAT 3: Malia Ilagan (USA) 12.60 DEF. Rachael Tilly (USA) 12.20
HEAT 4: Avalon Gall (USA) 12.63 DEF. Kelis Kaleopaa (HAW) 7.60

Lexus US Open of Surfing Men’s Longboard Quarterfinal Results:
HEAT 1: Kai Ellice-Flint (AUS) 13.97 DEF. Steven Sawyer (RSA) 13.67
HEAT 2: John Michael Van Hohenstein (HAW) 16.33 DEF. Cole Robbins (USA) 14.47
HEAT 3: Taylor Jensen (USA) 11.27 DEF. Declan Wyton (AUS) 10.73
HEAT 4: Rogelio Jr Esquievel (PHL) 15.63 DEF. Kaniela Stewart (HAW) 12.67

WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/

(黒本人志)

※当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等を禁じます。