(ファイナリスト) PHOTO:© WSL/Pat Nolan

ヤゴ・ドラ&ベティルー・サクラ・ジョンソンが優勝!五十嵐カノアが2位!CT第8戦『Lexus Trestles Pro』最終日

2028ロス五輪の会場でもあるカリフォルニアのローワー・トラッセルズで開催されていたCT第8戦『Lexus Trestles Pro』が現地時間6月14日に終了。

ミッドシーズンカットによってメンズ24名、ウィメンズ12名に絞られたシーズン後半戦の最初のイベントとなり、ここから先はファイナル5入りに向けての争いがより熾烈になってくる。
カリフォルニアの後はブラジル、南アフリカ、タヒチと3戦のみ。
「WSL Finals」は初のフィジーが舞台となり、8月にワールドタイトルが決定する。

PHOTO:© WSL/Pat Nolan
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五十嵐カノアが今季2度目の2位でランキング3位に浮上

(ランキング3位に浮上したカノア)
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2日間のレイデイを経て迎えたファイナルデイは公式5-7ftレンジのサイズ。
途中から風の影響が入ったものの、世界を代表するハイパフォーマンスの波は変わらず、ハイスコア連発の見応えある1日になった。

メンズのファイナルはヤゴ・ドラ(BRA)と日本の五十嵐カノア。

カノアはQFでコナー・オレアリーとの日本人対決を制し、SFではベルズ戦のファイナル以来のロボことジャック・ロビンソン(AUS)に競り勝ち、対戦成績を3勝4敗にしてベルズでのリベンジを果たしていた。

(カノアの応援団)
PHOTO: © WSL/Emma Sharon
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(コナー、ロボを倒してファイナルに進んだ)
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ヒート前のファン投票はヤゴが66%、カノアが34%。
ヤゴはレフトでエアー、カノアはライトでマニューバーを狙う戦略でヒートは進行。

開始直後にフロントサイドのテールハイ・エアーリバースを完璧に決めたヤゴが9.53を出してゲームはスタート。ヤゴは6.00のバックアップスコアを重ねて主導権を握った。
カノアはメジャーマニューバーのコンビネーションで攻め、最初に7.33。ヤゴが見逃した波で7.77とスコアを伸ばしてトータルで15.10と追い上げるが、すぐにヤゴが1本の波で二つのエアーを入れて8.00とバックアップを更新する。
ニード9.76に追い込まれたカノアは中盤に8.30とスコアを伸ばしてニードスコアを縮めるが、またしてもヤゴが1本の波で二つのエアーをメイク。8.27とバックアップを更新してしまう。
残り10分、エアーにスコアが出ると判断したカノアはウェーブプールで成功していたバックフリップを決めるが、7.13とスコアは伸びず、ニード9.60のまま終了のホーンが鳴った。

PHOTO: © WSL/Emma Sharon
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(ヤゴ・ドラ)
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ベルズに続き、今季2度目の2位になったカノアはランキングを4位から3位に上げて2度目のファイナル5入りが現実的になってきた。

「たった二人でローワーズでサーフィンすること自体が特別な経験だと思う。カリフォルニアに来て、素晴らしい波に恵まれた。サーフィンの神様に感謝したいね。そして、本当に熱い応援をしてくれたファンに感謝しているよ。今年の残りイベントも凄い楽しみさ。先日は全米選手権の表彰台にも立った。時間が経つのは早いよね。ローアーズは世界最高の波の一つで、変わらないものもある。今週の波や、サポートしてくれるチームに感謝している。こんな結果を出すには、自分がサーフボードに立つだけではなく、それ以上の力が必要なんだ。素晴らしい一年になっている。この調子で続けていきたい」

エアーで今季2勝目を決めたヤゴ

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シーズン序盤のポルトガル戦でもエアーで勝負を決めたヤゴ。

QFでイーサン・ユーイング(AUS)、SFでグリフィン・コラピント(USA)を共に接戦の末に倒してカノアとのファイナルを制して今季2度目の優勝。CT通算では3勝目。
不調が続くイタロを抜き去り、ランキング2位に浮上している。

次のブラジル戦は2023年にCT初優勝を決めた場所。
今回のようなエアリアルのバリエーションと安定度が続けば、軽くもう1つのトロフィーも手に入れてしまうだろう。

「信じられないね。この大会で戦うチャンスをずっと待っていて、初出場で勝てるなんて本当に凄いこと。神に感謝した。特にQFであの最後の波を送ってくれたのは、まるで勝利への後押しのようだった。今は本当に信じられない気持ちで一杯で、優勝してとても幸せだよ。これからブラジルに帰るけど、ツアーで一番好きな大会なので楽しみさ。チームのみんなや父、スポンサーの方々、そしてサンクレメンテの皆さんにも感謝している。いつも温かく迎えてくれて、ラインナップで自分の居場所を与えてくれるんだ。最高の波を堪能できた。今日は自分の日だった」

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(ヤゴ・ドラの父も大喜び)
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今季2勝目でトップ5入りを決めたサクラ

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ウィメンズサイドはベティルー・サクラ・ジョンソン(HAW)とモリー・ピックラム(AUS)がファイナルを争い、序盤はモリーがクリーンなカービングターンでミドルスコアを重ねていたが、サクラがクリティカルセクションでのパワフルなターンで8.00、更に速いセクションを抜けながらのターンとラジカルなフィニッシュで9.00を出してトータル17.00で圧勝。
モリーの4本目、ステフのようなスタイリッシュなターンの連続での8.23も素晴らしかったが、勝負の流れはサクラだった。

イベントを通しても8ポイント以上を8本も重ね、特にキャロライン・マークス(USA)とのQFでは8ポイントを捨てスコアにしてトータル17.83とイベントのハイエストヒートスコアも出すなどローワーズの波で最も映えていた。

「全体を通して、どのヒートも乗り越えられて本当に嬉しいし、優勝できて興奮しているわ。正直、秘訣は“幸せでいること”、そして大切な人たちに囲まれていることだと思う。今年のサポートは本当に素晴らしくて、感謝しかない。自分のリズムを見つけて波を選び、波の状況を見極めながら、できる限り全力で攻めた。ローワーズの波は最高で、12歳の時の思い出が蘇る。今はセカンドギアで頑張っている。シーズン後半には4速に入れたいけど、ここで失うものは何もない。目標はファイナル5に入ること。プロセスを楽しみながら一つ一つの波に集中している。それが一番大事なことだわ」

まだ20歳のサクラは、ゴールドコーストでのCT初優勝から早くも2勝目を決めてランキング4位まで浮上。
念願のトップ5入りを果たしている。

PHOTO:© WSL/Pat Nolan
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3度目のファイナル5入りを目指すモリー

PHOTO:© WSL/Pat Nolan

今季優勝こそないものの、安定度で言えば一番のモリーはランキング3位を維持。
ガブリエラ・ブライアン(HAW)、ケイトリン・シマーズ(USA)とトップ2も変わらず、次のブラジル戦に挑むことになる。

「準優勝は本当に嬉しいわ。今年は特に海でも陸でも追い込まれていると感じているの。対戦相手が私にどんなプレッシャーをかけてくるかわからないから面白い。ケイティには何度も負けてきたけど、今回やっと勝てて嬉しい。それにベティルーにはキャリア初期に何度か勝ったけど、今は彼女に追いつかれている。彼女のことを話すたびにワクワクするし、彼女が海で私に与える刺激は素晴らしい。みんなが誰にでも勝てる力を持っている。そんなこの舞台に立てて本当に幸せよ」

現在22歳のモリーはツアー2年目の2023年から2年連続でファイナル5入りを決めており、今年は3年連続を目指している。

ちなみに現在のウィメンズトップ5の平均年齢は22.2歳と若い。
まだ成長する余地が十分に残っており、これから数年でウィメンズのレベルが更に上がる可能性もある。
3年後のロス五輪はタヒチとは違うサーフィンの魅力を世界中の五輪ファンに披露できるだろう。

次のCT第9戦『VIVO Rio Pro』は6月21日〜29日にブラジルのサクアレマで開催される。

『Lexus Trestles Pro』結果
1位 ヤゴ・ドラ(BRA)
2位 五十嵐カノア(JPN)
3位 グリフィン・コラピント(USA)、ジャック・ロビンソン(AUS)
5位 ジョエル・ヴォーン(AUS)、イーサン・ユーイング(AUS)、コール・ハウシュマンド(USA)、コナー・オレアリー(JPN)

ウィメンズ
1位 ベティルー・サクラ・ジョンソン(HAW)
2位 モリー・ピックラム(AUS)
3位 ケイトリン・シマーズ(USA)、ソーヤ・リンドブラッド(USA)
5位 エリン・ブルックス(CAN)、レイキー・ピーターソン(USA)、ガブリエラ・ブライアン(HAW)、キャロライン・マークス(USA)

Lexus Trestles Pro Presented by Outerknown Women’s Final Results:
1 – Bettylou Sakura Johnson (HAW) 17.00
2 – Molly Picklum (AUS) 14.23

Lexus Trestles Pro Presented by Outerknown Men’s Final Results:
1 – Yago Dora (BRA) 17.90
2 – Kanoa Igarashi (JPN) 16.07

Lexus Trestles Pro Presented by Outerknown Women’s Semifinal Results:
HEAT 1:HEAT 1: Molly Picklum (AUS) 16.37 DEF. Caitlin Simmers (USA) 10.84
HEAT 2: Bettylou Sakura Johnson (HAW) 16.24 DEF. Sawyer Lindblad (USA) 14.33

Lexus Trestles Pro Presented by Outerknown Men’s Semifinal Results:
HEAT 1: Yago Dora (BRA) 17.23 DEF. Griffin Colapinto (USA) 15.20
HEAT 2: Kanoa Igarashi (JPN) 17.10 DEF. Jack Robinson (AUS) 16.10

Lexus Trestles Pro Presented by Outerknown Women’s Quarterfinal Results:
HEAT 1: Caitlin Simmers (USA) 12.10 DEF. Erin Brooks (CAN) 11.66
HEAT 2: Molly Picklum (AUS) 12.50 DEF. Lakey Peterson (USA) 11.47
HEAT 3: Sawyer Lindblad (USA) 15.50 DEF. Gabriela Bryan (HAW) 5.17
HEAT 4: Bettylou Sakura Johnson (HAW) 17.83 DEF. Caroline Marks (USA) 8.70

Lexus Trestles Pro Presented by Outerknown Men’s Quarterfinal Results:
HEAT 1: Griffin Colapinto (USA) 16.40 DEF. Joel Vaughan (AUS) 12.17
HEAT 2: Yago Dora (BRA) 15.37 DEF. Ethan Ewing (AUS) 14.63
HEAT 3: Jack Robinson (AUS) 16.27 DEF. Cole Houshmand (USA) 15.94
HEAT 4: Kanoa Igarashi (JPN) 15.16 DEF. Connor O’Leary (JPN) 13.37

WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/

(黒本人志)

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