(コナー・オレアリー) PHOTO: © WSL/Emma Sharon

五十嵐カノア&コナー・オレアリーがファイナルデイに残る!CT第8戦『Lexus Trestles Pro』2日目

カリフォルニアのローワー・トラッセルズで開催中のCT第8戦『Lexus Trestles Pro』は現地時間6月11日に大会2日目を迎え、メンズのElimination Roundの残りヒートの後、ウィメンズのElimination Round、メンズはRound of 16が進行してQFを戦うベスト8が決定。
ウィメンズはQFの4ヒート中、2ヒートのみが進行した。

現地時間6月12日、13日はオフが決まっており、14日の土曜に再開されてこの日がファイナルデイになる可能性がある。

五十嵐カノア&コナー・オレアリーがファイナルデイへ

(コナー・オレアリー)
PHOTO:© WSL/Pat Nolan

Elimination Roundの残りヒートでは、日本のコナー・オレアリーがメキシコのアラン・クリーランドと対戦して7.07を含むトータル13.90で圧勝。
ライト、レフト共に乗っていたが、ライトの方がポテンシャルがあり、パワフルなバックハンドでスコアを伸ばし、得意のスイッチスタンスまで見せる余裕もあった。

Round of 16のH7では、五十嵐カノアがローカルのクロスビー・コラピントと対戦。
エルサルバドル戦では、異例のインターフェアでカノアが負けた因縁の対決でもある。

同じカリフォルニア出身でもハンティントンビーチのカノアはアウェー感があるが、風の影響が入り始めたローワーズできっちりと仕事をこなし、スコアを伸ばしてリード。
残り時間4分を切ってから入った最後のセットでのエクスチェンジは、プラオイリティを持っていたクロスビーが最初に乗り、大声援をバックにビッグターンの連続でロングライド。
これでひっくり返るか?と多くの人が思っただろうが、その裏で乗ったカノアもファーストセクションでのビッグターンからインサイドまで綺麗にメイク。
クロスビーのライドは9.33とヒートのハイエストが出たものの、バックアップスコアが低く、8.93を出したカノアがトータルで上回り、僅差で勝利した。

(ライト・レフト共に完璧な波)
PHOTO:© WSL/Pat Nolan
(五十嵐カノア)
PHOTO: © WSL/Emma Sharon
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「QFに進めたね。シーズン後半になると出場選手の数が少なくなる。つい忘れがちだけど、またファイナルデイに進めたのは本当に嬉しいね。あのヒートはスローな展開だったけど、自分的には結構落ち着いてやれたよ。自分が乗ったインサイドの波は、普段ここでよく乗っているタイプの波だから、慣れているんだ。逆にセットの大きい波が来た時は、正直どうしていいか分からなかった。普段ああいう波には乗らないからね。自分のホームみたいな感じだった。ボードも調子良いし、JSに感謝してる。ジェイソンがこのボードを24時間で削ってくれて、さらに友達を見つけて持ってきてくれた(その模様は最新のEYE OF THE STORMで)んだ。チーム全体の力があってのこと。本当にいいサポートを受けてるし、今回の結果には満足してるよ」とコメント。

最後のクロスビーとのエクスチェンジについては、「正直言うと、あの波はあまり乗りたくなかったんだ。さっき言ったけど、あれはちょっと大きめの波で、ああいうサイズの波にはあまり乗りたくないんだ。でも、今回はラッキーだった。最初はちょっとホワイトウォーター気味だったけど、その後バンクに上手く繋がってきた。今はちょっと“ミドルズ”っぽい場所でやってると思うんだけど、また全然違う種類の波だよね。でも、良かったよ。本当に良い波だった。ずっと繋がってくれて、何度も何度も当ててくれって波だった。でも、クロスビーが波に乗っていた時に観客が騒いでいたので、途中から集中するのが本当に難しかった。集中し続けるのがちょっと大変だったけど、とにかくあの波を最後まで乗り切らなきゃいけないって分かってた。そして、これはかなり接戦になるっていうのも分かってたよ。本当にエキサイティングなヒートだったね」と話していた。

普段からローワーズでサーフィンする時は、アウトで待たずにインサイドの波を選ぶというカノア。
インサイドと言っても距離はあり、完璧なリッパブルな波であるのがこのブレイクの凄い点だ。

なお、コナーのRound of 16の相手、バロン・マミヤ(HAW)はケリーとの前ヒートで右膝を捻ってしまい、棄権。コナーは不戦勝となり、QFはカノアとコナーの今年2度目のヒートが実現する。
このカードはコナーの勝率が上回っている。

イタロがまたしても早期敗退

(イタロを倒したジョエル・ヴォーン)
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オーストラリアレッグでの3戦連続Round of 32敗退の17位を払拭するように、Opening Roundは完璧な勝ち方をしていたイタロ・フェレイラ(BRA)だったが、ルーキーのジョエル・ヴォーン(AUS)とのRound of 16のH1では、接戦の末に敗退。

このヒートはイタロが7.83を先制。ジョエルがパワフルなターンとエアーリバースで8.57とヒートのハイスコアを出して逆転。
イタロはエアーからカットバック、最後にエアーリバースをメイクして8.37を返してトップを奪い返すが、ジョエルは最後のチャンスで大きなストレートエアーを披露。
8.30をスコアして逆転に次ぐ逆転となったこの素晴らしいヒートを制したのだ。

(ジョエル・ヴォーン) PHOTO:© WSL/Pat Nolan
PHOTO:© WSL/Pat Nolan
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「イタロは本当に凄いコンペティターで、何をやってくるか分からない。だから思い切って攻めようと決めたんだ。良いパフォーマンスができたよ。前にストレートエアで転んでたから、どうしても決めたかった。グラブを少しミスってバランス崩したけど、持ち直してターンに繋げられた。パドルで戻ってきたからこそ、本能的に動けたんだと思う。思い切ってチャレンジしてみたよ」

その他、オージーではジャック・ロビンソン(AUS)が17.07のハイエストヒートスコアを出してレオナルド・フィオラヴァンティ(ITA)を倒し、注目を集めていた。
ジェイク・マーシャル(USA)を倒したイーサン・ユーイング(AUS)も今シーズン5度目のQF進出を決めている。

ローカルが3名残る

(グリフィン・コラピント)
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ジョエルとイタロのエキサイティングなヒートの後、ローカルのグリフィン・コラピントとブラジリアンのフィリッペ・トレドのヒートは更に面白い勝負になった。

フィリッペは2022年、2023年にこの場所で2年連続でワールドタイトルを獲得。現在は家族でサンクレメンテに移住しているため、第二のホームでもあある。

ライトの波での7ポイント台のファーストエクスチェンジの後、レフトで6.00。更にライトで抉りこむようにポケットに戻る2ターンとブローテール・エアーリバースで7.50を重ね、15.50とグリフィンを追い込む。

バックハンドのトリッキーなエアーを連続するほどの余裕を見せたフィリッペに対して、グリフィンも7.90、7.57とスコアを重ねてニード7.61まで追い上げる。
残り時間1分を切ってからの最後のエクスチェンジでは、プラオイリティを持っていたフィリッペが最初にテイクオフしてカットバックからフルローテーションエアーをメイクして8.30とハイスコアを更新。
これで勝負は決まったかと思ったが、グリフィンが2つのビッグターンとブローテール。
目の前にいたフィリッペも思わず拍手するほどのパフォーマンスに8.93がスコアされ、大逆転。
CT通算100回目のヒート勝利も加わり、ビーチにいた応援団と喜びを分かち合っていた。

(地元応援団の前で大逆転したグリフィン)
PHOTO: © WSL/Emma Sharon
(フィリッペも素晴らしかったが… )
PHOTO:© WSL/Pat Nolan
PHOTO:© WSL/Pat Nolan

「100回目のヒート勝利がフィリペ相手って、縁起が良いね。いつでも大歓迎だよ。去年のファイナルを思い出して、少しPTSDっぽくなってた。あの時はビーチに立ってて、何もかもが思い通りにいかなかった。だから今回は勝てないかもって気持ちがどこかにあったんだ。フィリペの波を見てなかったし、自分のスコアも予想がつかなかった。でもあの点数が出た瞬間、全てが報われた気がした。友達や家族みんなが見てくれてる中で、あの瞬間を迎えられたのは本当に最高だったよ」

その他、コール・ハウシュマンド(USA)がイエロージャージを着るジョーディ・スミス(RSA)に勝利。
ワイルドカードのソーヤ・リンドブラッド(USA)がElimination RoundのH3でイザベラ・ニコルス(AUS)を抑えてQF進出を決めている。

ケイティがエリンを倒す

(ケイトリン・シマーズ)
PHOTO: © WSL/Emma Sharon

4ヒート中、2ヒートだけ行われたウィメンズのQFでは、H1でケイトリン・シマーズ(USA)とエリン・ブルックス(CAN)が対戦。

Elimination Roundでは8.33を出してタイラー・ライト(AUS)に圧勝したエリンだったが、このヒートはスローヒートで5ポイント止まり。
2本目が揃った時点でリードはしたものの、後半にケイトリンが逆転してSF進出を決めた。

(エリン・ブルックス)
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「ローワーズは本当に完璧で、私にとって世界で一番楽しい波の一つよ。この場所に立てて、人々にインスピレーションを与える立場にいるのはとても特別なこと。プレッシャーもあるけど、”全てには意味がある”と自分に言い聞かせて、自分らしく、自分の心に従ってやろうとしてる」

SFはレイキー・ピーターソン(USA)を倒したモリー・ピックラム(AUS)とのカードになる。

ネクストコールは2日後となる現地時間6月14日の朝7時45分(日本時間の同日23時45分)で、コンディションが整えばファイナルデイになる予定。

Lexus Trestles Pro Men’s Remaining Elimination Round Results (Heats 6-8):
HEAT 6: Connor O’Leary (JPN) 13.90 DEF. Alan Cleland (MEX) 8.77
HEAT 7: Leonardo Fioravanti (ITA) 12.57 DEF. Seth Moniz (HAW) 12.50
HEAT 8: Crosby Colapinto (USA) 12.90 DEF. Marco Mignot (FRA) 11.77

Lexus Trestles Pro Men’s Round of 16 Results:
HEAT 1: Joel Vaughan (AUS) 16.87 DEF. Italo Ferreira (BRA) 16.20
HEAT 2: Griffin Colapinto (USA) 16.83 DEF. Filipe Toledo (BRA) 16.30
HEAT 3: Yago Dora (BRA) 11.66 DEF. Joao Chianca (BRA) 9.33
HEAT 4: Ethan Ewing (AUS) 14.67 DEF. Jake Marshall (USA) 12.70
HEAT 5: Cole Houshmand (USA) 16.43 DEF. Jordy Smith (RSA) 14.23
HEAT 6: Jack Robinson (AUS) 17.07 DEF. Leonardo Fioravanti (ITA) 14.00
HEAT 7: Kanoa Igarashi (JPN) 15.93 DEF. Crosby Colapinto (USA) 15.00
HEAT 8: Connor O’Leary (JPN) DEF. Barron Mamiya (HAW)

Lexus Trestles Pro Upcoming Men’s Quarterfinal Matchups:
HEAT 1: Joel Vaughan (AUS) vs. Griffin Colapinto (USA)
HEAT 2: Yago Dora (BRA) vs. Ethan Ewing (AUS)
HEAT 3: Cole Houshmand (USA) vs. Jack Robinson (AUS)
HEAT 4: Kanoa Igarashi (JPN) vs. Connor O’Leary (JPN)

Lexus Trestles Pro Women’s Elimination Round Results:
HEAT 1: Caitlin Simmers (USA) 14.87 DEF. Kirra Pinkerton (USA) 13.96
HEAT 2: Erin Brooks (CAN) 16.33 DEF. Tyler Wright (AUS) 6.84
HEAT 3: Sawyer Lindblad (USA) 14.17 DEF. Isabella Nichols (AUS) 13.20
HEAT 4: Caroline Marks (USA) 15.20 DEF. Luana Silva (BRA) 13.44

Lexus Trestles Pro Women’s Quarterfinal Results (Heats 1-2):
HEAT 1: Caitlin Simmers (USA) 12.10 DEF. Erin Brooks (CAN) 11.66
HEAT 2: Molly Picklum (AUS) 12.50 DEF. Lakey Peterson (USA) 11.47

Lexus Trestles Pro Remaining Women’s Quarterfinal Matchups (Heats 3-4):
HEAT 3: Gabriela Bryan (HAW) vs. Sawyer Lindblad (USA)
Heat 4: Caroline Marks (USA) vs. Bettylou Sakura Johnson (HAW)

WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/

(黒本人志)

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