メンズ24名、ウィメンズ12名に絞られたCT後半戦の最初のイベント、第8戦『Lexus Trestles Pro』が現地時間6月9日〜17日にカリフォルニアのローワー・トラッセルズで開催される。
カレントリーダーはジョーディ・スミス(RSA)とガブリエラ・ブライアン(HAW)で、ジョーディは第7戦のマーガレットリバーでイタロ・フェレイラ(BRA)からトップを奪い、初のイエロージャージ着用となる。
この二人の他、ローワー・トラッセルズがあるサンクレメンテをホームとするグリフィン・コラピント、クロスビー・コラピント、コール・ハウシュマンド。
ワイルドカードのソーヤ・リンドブラッド、キラ・ピンカートンも注目されている。
また、トラッセルズで6勝の最多優勝記録を持つケリー・スレーターは勝敗を抜きにして今イベントの目玉的選手。
もし、優勝すればCTでは通算57勝目となり、53歳の最年長記録も更新する。
地元ヒーローたちがローワー・トラッスルズに帰還

PHOTO:© WSL/Pat Nolan
サンクレメンテクルーの中でもリーダー的存在のグリフィンは弟のクロスビーと共に凱旋帰国を果たしている。
2025年シーズンは序盤に低迷してミッドシーズンカットが危ういポジションまで落ちたが、オーストラリアレッグで見事に持ち直して後半戦進出を決めた。
「ここに戻ってこられるのは本当に特別だよ。僕たちはこの場所でサーフィンを学び、この大会を見てプロサーファーになりたいと思ったんだ。次の世代にそれを示すチャンスが今まさにある。グダスカス兄弟をここで応援していた時のことを今でも鮮明に覚えているよ。それに沢山の素晴らしい思い出がある。僕たちの子ども時代はすべてここに詰まっているんだ。コミュニティは本当にクールで、サーフィンが大好き。この波はツアーにふさわしい。完璧なライトとレフトがあり、すべてのサーファーにマッチする。みんなが最高のサーフィンを見せられる波なんだ」
ウィメンズは2024年のルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得したソーヤが2025年はミッドシーズンカットで後半戦進出を逃したが、今回はワイルドカードで出場する。
キラは終了したばかりのオーストラリアのCS初戦の結果により、リージョナルトップで選出された。
9位に入った2025年のエルサルバドル戦を含め、2018年、2021年にもCT経験がある。
まだ22歳と若く、サンクレメンテ期待の選手だ。

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イエロージャージを着る二人

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ウィメンズのイエロージャージを着るガブリエラは、2004年の故アンディ・アイアンズ以来のカウアイ島出身者としてワールドタイトルを獲得を狙っている。
彼女がツアーに入り、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得した2022年はすでにトラッスルズがレギュラーシーズンの舞台から外され、「WSL FINAL」の会場として使用されていたため、初のイベントになる。
2025年はエルサルバドル、マーガレットリバーで優勝。
ゴールドコースト以来、世界ランキング1位の座に君臨し続けている。
「ここでの初めてのCTは本当に楽しみだわ。この波では、子供の頃から毎年夏にアマチュアイベントでサーフィンしていたので、CTで再びこの舞台に立てるなんて夢のようね。本当に長い道のりだったけど、遂にその時が来て嬉しい。イエロージャージを着ていると、自分がやってきた努力の成果を実感できるし、“やっていることは間違ってない”っていう証にもなっている。私は注目されないタイプの方が好きだけど、せっかくならその注目も楽しんでしまえばいいかなって。子供の頃は挑戦者だったのに、今は地元に帰るとみんなが誇りに思ってくれてる。みんなが私のために沢山支えてくれている。これはもう自分ひとりの報酬じゃなくて、みんなのためのご褒美だと思っているわ」

PHOTO:© WSL/Pat Nolan
ガブリエラと同じく2025年はエルサルバドル、マーガレットリバーで優勝しているジョーディ。
ツアー最年長の37歳にしてキャリア最高のシーズンを送っている。
ジョーディが最後にトラッセルズで戦ったのは、2017年でその時も世界ランキング1位だった。
トラッセルズでは、2014年、2016年に優勝経験があり、その他にも2017年の2位を始め、出場した時は毎回上位に入っている。
「ここでの思い出は沢山あるね。以前サンクレメンテに少し住んでいて、キャリア初期には父と一緒にサーフィンしたのが特別な思い出かな。クリス・ワードや『Lost…』シリーズの映像を見て育った。あれが本当に自分の最大のインスピレーションになったんだ。努力というのは人それぞれ定義が違うし、生き方も環境も常に変化しているもの。その中で適応しながら、その日その日で自分ができるベストを尽くす。それが積み重なって明日がより良い日になるように願うしかない。正直、何が正解かなんて簡単には言えないよね。でも、僕がずっと言っているのは、“パン一斤はパンくずの積み重ね”ってこと。どんなに小さな努力でも、それが積み重なれば大きな成果になる。とにかく毎日、コツコツ続けていくしかないのさ」
注目の若手ワイルドカード

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メンズサイドでケリーの他にワイルドカードを得たディミトリ・ポウロスはカリフォルニアのベンチュラ出身の22歳。
2019年のISAのワールドジュニア、U18で金メダルを獲得して団体金メダルにも大きく貢献した。
オーストラリアのCS初戦では元CT選手のモーガン・シビリック(AUS)を倒してQFに進出。
キラと同じくリージョナルトップでの選出となる。
「ニューキャッスルの結果で、北米選手最上位にワイルドカードが与えられるっていう噂は聞いていたけど、あまり気にしていなかった。でも、実際に“君が北米で最上位だよ”ってメッセージが届いた時は本当に嬉しかったね。ローワーズは良くサーフィンしている場所で、慣れている。オーストラリアから帰国する便にはいくつかの選択肢がある。前日となる日曜の夜着か、当日の朝6時着か。LAXに着いて、そのまま空港からジャージ着て向かうことになるかもね」
「WSL Rising Tides」と開会の儀式

なお、開幕前日には恒例の「WSL Rising Tides」が行われ、若い女性サーファーが憧れのCT選手と一緒に海に入った。
参加したソーヤは、「ローワーズでサーフィンできるのが本当に嬉しい。多くの女の子たちを見るのも最高だったし、コンディションも完璧だった。今週、自分のホームブレイクで大会に出られるチャンスをもらえてワクワクしている。8歳の頃からここに来ているので、本当に特別な場所なの」とコメントを残している。




また、ジュアネーニョ・バンド・オブ・ミッション・インディアンズ/アチャチェメン族による開会の儀式も行われた。
儀式にはグリフィン、クロスビー、コールなどの地元選手が参加した。
CT第8戦『Lexus Trestles Pro』のファーストコールは現地時間6月9日の朝7時45分(日本時間の同日23時45分)になる。
日本の五十嵐カノアは和井田理央(IND)、コール・ハウシュマンド(USA)とオープニングヒートを戦う。
Lexus Trestles Pro Women’s Opening Round Matchups:
HEAT 1: Isabella Nichols (AUS) vs. Tyler Wright (AUS) vs. Lakey Peterson (USA)
HEAT 2: Gabriela Bryan (HAW) vs. Luana Silva (BRA) vs. Kirra Pinkerton (USA)
HEAT 3: Caitlin Simmers (USA) vs. Bettylou Sakura Johnson (HAW) vs. Sawyer Lindblad (USA)
HEAT 4: Molly Picklum (AUS) vs. Caroline Marks (USA) vs. Erin Brooks (CAN)
Lexus Trestles Pro Men’s Opening Round Matchups:
HEAT 1: Kanoa Igarashi (JPN) vs. Rio Waida (INA) vs. Cole Houshmand (USA)
HEAT 2: Yago Dora (BRA) vs. Connor O’Leary (JPN) vs. Alejo Muniz (BRA)
HEAT 3: Italo Ferreira (BRA) vs. Marco Mignot (FRA) vs. Kelly Slater (USA)
HEAT 4: Jordy Smith (RSA) vs. Crosby Colapinto (USA) vs. Dimitri Poulos (USA)
HEAT 5: Barron Mamiya (HAW) vs. Jake Marshall (USA) vs. Seth Moniz (HAW)
HEAT 6: Ethan Ewing (AUS) vs. Griffin Colapinto (USA) vs. Joel Vaughan (AUS)
HEAT 7: Filipe Toledo (BRA) vs. Miguel Pupo (BRA) vs. Joao Chianca (BRA)
HEAT 8: Jack Robinson (AUS) vs. Leonardo Fioravanti (ITA) vs. Alan Cleland Jr. (MEX)
WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/
(黒本人志)