(ファイナリスト) PHOTO: © WSL/Aaron Hughes

都筑有夢路が初戦5位!『Burton Automotive Newcastle』を制したのは?

現地時間6月8日、全7戦で行われる2025-2026シーズンのCS開幕戦『Burton Automotive Newcastle』が終了。
ファイナルデイのミアウェザービーチは公式3-4ftレンジ。オフショアが強く、セクションを繋ぐのが難しい波が多かったが、いくつかのハイスコアも生まれていた。

都筑有夢路が初戦5位

(小さいながらバレルを抜けた都筑有夢路)
PHOTO: © WSL/Hannah Anderson

今イベントには13名の日本人選手が出場。
CSレベルになると相当ハードな戦いになることが改めて分かったが、CT経験がある都筑有夢路が2022年以来のベスト8入りを決め、唯一ファイナルデイに残った。

都筑有夢路は、QFのH2でテレサ・ボンヴァロ(PRT)と対戦。
2本の6ポイント台をまとめたテレサが主導権を握り、都筑有夢路が追う形になった。
都筑有夢路は後半に小さいながらバレルを抜けるなど見せ場を作って追い上げたものの、最後の波で岩に乗り上げてしまい、ノーズが折れてしまう。
サーフボードを変えた後も逆転のチャンスは訪れず、初戦は5位でフィニッシュした。

(最後にサーフボードのノーズを折ってしまった)
PHOTO: © WSL/Aaron Hughes
PHOTO: © WSL/Aaron Hughes

ジェイコブ・ウィルコックスがCS初優勝

PHOTO: © WSL/Hannah Anderson

メンズサイドはジェイコブ・ウィルコックス(AUS)とカウリ・ヴァースト(FRA)と二人のグーフィーフッターがファイナルに残り、ミッドレンジのスコアの応酬。ジェイコブが僅かにリードしてヒートが進行した。中盤を過ぎた頃からセットが止んでしまい、10分以上も小康状態に…。
終了間際に訪れたチャンスもカウリはスコアを伸ばすことができず、ジェイコブがトータル12.30でCS初優勝を決めた。

「ファイナルの後半は波が止んでしまった。“海が味方してくれることもある、リズムに乗れたら勝機はある”って自分に言い聞かせていたよ。今週はまさにそのリズムと運が自分に来た感じだったね。サーフィンってそういうスポーツさ。いつ自分の瞬間が来るかなんて分からない。でも、今日は間違いなく自分の瞬間だったし、めっちゃ嬉しいよ」

PHOTO: © WSL/Aaron Hughes
PHOTO: © WSL/Aaron Hughes

ジュニア時代からロボことジャック・ロビンソンと共に西オーストラリアの神童として注目されていたジェイコブだったが、大舞台で結果を残すことはできず、2024年のCTルーキーイヤーもミッドシーズンカットで敢え無く脱落してしまった。

今イベントは、ただのCSの1戦ではなく、30年近く続く「SURFEST」というビッグタイトルもかかっている。
かつてケリー・スレーター、ステファニー・ギルモア、トム・カレン、レイン・ビーチェリー、ミック・ファニング、ジョエル・パーキンソン、フリーダ・ザンバ、マーク・オクルーポなどレジェンドが優勝しており、そのレジェンドと肩を並べることになった。

「この瞬間を迎えるまでに、本当に長い時間がかかった。優勝に辿り着くまでに何度も敗れてきたので、やっと手にできて本当に信じられない気持ちさ。優勝まで沢山努力してきたし、さっきビーチで味わったあの瞬間は、人生最高の気分だった。ビーチに戻って仲間たちに“たぶん勝ったよ”って言われて、その瞬間を一緒に共有できたのが本当に特別だったね」

カウリが念願のクオリファイに大きな一歩

(カウリ・ヴァースト)
PHOTO: © WSL/Aaron Hughes

パリ五輪の金メダリストとして名高いカウリだが、CSでの戦いはタヒチでのバレルとは勝手が違い、2021年からのチャレンジでランキングは2桁を抜け出せない。

しかし、今シーズンの開幕戦では安定感あるパフォーマンスを見せ、特にローカルのライアン・カリナン(AUS)とのSFでは長いライトを綺麗にメイク。イベントのハイエストとなる9.10を出して存在感を示していた。

「オリンピック以降、なかなかヒートを勝ち上がれず苦しい時期が続いていた。でも、チームと共に気持ちをリセットして、今年は良いスタートを切れたので、本当に嬉しい。友人たちがCTに上がっていく姿を見て、自分もその舞台に立つのが夢なんだ。ようやくその道を歩み始めたと実感している。この場所も大好きだし、観客の雰囲気も最高だった。本当にありがとう」

ちなみにカウリも五十嵐カノアと同じJSのサーフボードを使用している。

ポルトガル人初のタイトル

PHOTO: © WSL/Hannah Anderson

ウィメンズサイドはフランシスカ・ヴェゼルコ(PRT)がサリー・フィッツギボンズ(AUS)を倒してCS初優勝並びにポルトガル人として初の「SURFEST」のタイトルを獲得した。

「信じられない、言葉がないわ。本当に人生最高の日よ。この勝利に至るまでには、チームや家族、そしてコーチの多大な努力があった。私のコーチは8歳の頃からずっと一緒で、沢山の犠牲を払ってここまで導いてくれたの。だからこの勝利は本当に特別よ。CSで優勝するなんて、まだ信じられない。自分自身と支えてくれたみんなを誇りに思う」

PHOTO: © WSL/Aaron Hughes

ファイナルは序盤に6.50を出したサリーがリード。フランシスカは3ポイント台を抜け出せなかったが、後半に6.17と7.50を重ねてトップを奪う。終了間際、サリーはニード7.18のシチュエーションでインサイドまで繋ぐが、5.70とスコアは伸びず。一方、フランシスカは長いライトを掴み、カットバックからフィニッシュまでメイクして7.10とバックアップスコアを伸ばしてトータル14.60で優勝を決めた。

「サリーとファイナルを共有できたのは本当に信じられない体験だった。彼女は本当に戦士であり、レジェンドであり、常に最後まで戦う姿は真のインスピレーションよ。CTから落ちたばかりなのに、すでにここで戦ってる。新世代を恐れず、私たちを鼓舞し続けてくれる存在。彼女は本当にレジェンドで、私は彼女のことが大好きよ」

サリーの4度目の挑戦が始まる

(勝負強さを見せたサリー・フィッツギボンズ)
PHOTO: © WSL/Aaron Hughes

サリーは4度目のミッドシーズンカットで再びCSからリスタート。
タイトル保持者でもある「SURFEST」で2位となり、長いシーズンに弾みをつけた。

「今週は感情のジェットコースターというか、心と魂が洗濯機にかけられたような感じね。でも、こうして結果を出せたのは本当に最高の気分。決勝であと一歩届かなかったのは悔しいけど、ビーチの応援も凄くてエネルギーに満ちていた。10歳の時からここで試合をしているので、この大会はいつも特別。CSのスタートをこの場所で切れたことが嬉しいわ」

次のCS第2戦『Ballito Pro』は6月30日〜7月6日に南アフリカのバリートで開催される。
また、CTは6月9日から第8戦『Lexus Trestles Pro』がスタートする。

『Burton Automotive Newcastle』結果
1位 ジェイコブ・ウィルコックス(AUS)
2位 カウリ・ヴァースト(FRA)
3位 マシュー・マクギリヴレイ(RSA)、ライアン・カリナン(AUS)
5位 ザビエル・ハクスタブル(AUS)、ウィンター・ヴィンセント(AUS)、ディミトリ・ポウロス(USA)、ピーターソン・クリサント(BRA)

ウィメンズ
1位 フランシスカ・ヴェゼルコ(PRT)
2位 サリー・フィッツギボンズ(AUS)
3位 テレサ・ボンヴァロ(PRT)、ティヤ・ゼブラウスキ(FRA)
5位 ソフィー・マカロック(AUS)、都筑有夢路(JPN)、キラ・ピンカートン(USA)、ヨランダ・ホプキンス(POR)

WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/

(黒本人志)

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