2025/2026『TUDOR Nazaré Big Wave Challenge』歴史に残る戦いを制したのは？

現地時間12月13日、WSLのビッグウェーブイベント『TUDOR Nazaré Big Wave Challenge』がポルトガルのナザレ、プライア・ド・ノルテで開催された。

ストームの影響で巨大な北西ウネリが入ったナザレは公式45-60ftレンジと常人レベルでは計り知れない壮大なスケールのビッグウェーブ。
昨年が公式25-35ftとアナウンスされていたと言えば、今年のナザレがいかに大きかったか分かるだろう。

まさに地球対人間の壮絶な戦い、調和が繰り広げられた歴史的な1日となり、ナザレを象徴する岬の上には何千人もの観客が人生で一度あるかないかのドラマティックな瞬間を目に焼き付けていた。

なお、霧による開始の遅れと岬の停電による遅延のため、WSLのチームは「十分な日光の下で安全にR2を完了する時間がない」と判断。
急遽、R1の結果で勝利を決めた。

本当に今年のナザレは特別だった。

クレモン＆ニックが2連覇

『TUDOR Nazaré Big Wave Challenge』はメンズ、ウィメンズの個人優勝の他、トーインでのチーム戦ならではのチーム優勝が用意されているが、ディフェンディングチャンピオンのクレモン・ロゼイロ(FRA)＆ニック・ヴォン・ランブ(PRT)が2連覇を達成した。

昨年は個人でも優勝していたクレモン。
今年はトータル21.99で個人では3位と優勝を逃したものの、ジェットスキーの技術でチームを優勝に導いた。

「正気じゃない、狂った1日だった。ニックも自分も何本か大きな波に乗り、無事だった。幸せな1日だったよ！」

トータル23.46とクレモンを上回るスコアを出したニック。
シングルスコアでは8.33とハイエストをマークしていた。

「クレモンは信じられないほどのサーファーだ。彼はたった2年前に現れたばかりの若手だが、すでにトップ中のトップに立っている。集まってくれた人の数を見てくれよ。ナザレは最高の瞬間を生きている。観衆と共に、イベントと共に、競技と共に、そしてルーカス・チアンカやペドロ・スクービーのような信じられないほどのサーファーたちと共にだけでなく、このイベントに参加していないサーファーたちとも共にね。私はここにいることをとても誇りに思う。そして、再び勝ったことが最高の特典だよ」

チャンボが2024年以来の個人優勝

個人メンズではペドロ・スクービーと組んだチャンボことルーカス・チアンカがトータル23.60で優勝。
ブラジリアンコンビが2024年以来の勝利をおさめた。

チャンボは2本のビッグウェーブを揃えたが、最悪のワイプアウトにも耐えた。
山のような波に2回も巻かれ、ウォーターパトロールに救助されて窮地を脱した。

「あれは確かにヘビーな瞬間だった。人生で最もヘビーなワイプアウトの一つだったよ。岩の真正面で拾い上げてくれたセバスチャン・ステウトナーに感謝したい。彼が命を救ってくれたんだ。今日は本当に危険な波で始まったが、みんな最善を尽くした。ペドロ・スクービーがジェットで自分を波に乗せてくれ、自分も彼を波に乗せた。ショーを上演してくれたナザレに、そして実現させてくれたWSLに感謝するよ」

ジャスティン・デュポンが2連覇

今年もウィメンズは出場者が少なく、昨シーズン同様にフランスのジャスティン・デュポン、ブラジルのミシェル・デ・ブイヨンズ、UKのローラ・クレインの3名。

昨シーズン、出産からの復帰戦で優勝したジャスティンがフランスのエリック・レビエールとコンビを組み、トータル19.87で2連覇を達成した。
ジャスティンは新フォーマットになった2020年から4回もナザレを制している。

「凄い1日だったわ。優勝して本当に幸せよ。最高のドライバーのエリックに感謝したい。もちろん、フレッド(パートナー)にも。セーフティチームと楽しい日を与えてくれたナザレへ感謝するわ」

『TUDOR Nazaré Big Wave Challenge』結果

・Men’s Best Performance
ルーカス・チアンカ(BRA)
・Women’s Best Performance
ジャスティン・デュポン(FRA)
・Best Team Performance
クレモン・ロゼイロ(FRA)
ニック・ヴォン・ランブ(PRT)

WSL公式サイト：http://www.worldsurfleague.com/

(染谷たかし)