PHOTO:© WSL/Cestari

CT返り咲きを果たしたライアン・カリナンに10の質問

2016年の僅か1年でCTを脱落、再びQSからのやり直しを強いられていたオーストラリア・ニューキャッスル出身のライアン・カリナン。

初のCTのキャリアを始める直前に58歳だった父親が白血病で亡くなり、2017年の母の日には母親がショック死と度重なる不幸を乗り越え、2018年は千葉・志田下を舞台としたQS6,000『Ichinomiya Chiba Open』で26歳の誕生日の前日にQS初優勝を成し遂げた。
これをきっかけに好成績を重ねてポルトガルでの10,000『EDP Billabong Pro Ericeira』では五十嵐カノアとファイナルを争い、優勝。

2つのハイグレードイベントでの優勝をベースに見事に返り咲きを果たしただけではなく、ワイルドカードで出場したCTのフランス戦ではルーキーイヤーの成績が嘘のように圧倒的なパフォーマンスで2016年に果てしなく遠かったファイナルに進出して2位。
更に最終戦のパイプラインではトライアルから勝ち上がり、本戦で9位と一躍時の人になっていた。

2度目のCTへの挑戦、ゴールドコーストでの開幕戦まで残り1ヶ月を切った彼の心境とは?
一度挫折をして復活した者だからこそ生まれる言葉には説得力がある。
2019年、危険な選手になる可能性もあるライアンに10の質問。

以前にクオリファイを果たしたことがあるけど、再度QSで戦うのは困難だと思っていた?

私はいつも困難に立ち向かっているよ(笑)。
最初にクオリファイを果たした年は自信があったけど、上手く行かなかった。
正直、QSを楽しんでいたんだ。多くの人はQSを仕事のようだと言うけど、自分にとっては素晴らしい場所に行って良い波でサーフィンしている感じなのさ。
CTと比べると良くないのかもしれないけど、常にオープンマインドでやっているよ。
それが大いに役に立ったような気がするのさ。

それも全て考え方だね。

その通り。
しかし、波の良し悪しに関わらず、本当に素晴らしいツアーだと思う。
1年間CTに参加したことでイベント中に必ずしも最高の波にならないことに気付いたんだ。
この観点は重要だよ。

クオリファイのターニングポイントを正確に特定出来る?

2017年のオフシーズン、怪我や個人的な理由でハワイのシーズンをパスした。
それがターニングポイントかな。
ハワイをパスした分の時間を自宅で過ごし、一度リセットして集中し直したんだ。

2018年は優勝した日本でのイベントが大きかったね。
今まで勝てなかったQSでの優勝が目標だったから、あれは私にとって大きかったよ。
日本の後、前進し始めてポルトガルのエリセイラでは凄い良いヒートがいくつかあった。特にギャビー(ガブリエル・メディナ)とのSF、カノア(五十嵐)とのファイナル。彼らを倒したのはとても気分が良かったし、他の勝利も重なってプレッシャーから大分解放されたよ。
それからフランスのCTでワイルドカードを手に入れ、大役を果たしたことは凄い嬉しかったし、この舞台でまだやれる気がしたのさ。
大きな自信にもなったよ。

 

 

 

 

 

 
 
 
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今年のCTでは何かを変えるの?

自分に期待しないことかな。
もっと大きな目標を設定するつもりさ。
すでに一度ツアーを脱落した経験があるから、それが世界の終わりのようには感じない。
自分のサーフィンを進歩させ、それを楽しみたい。
あとは楽しんで一年を送りたいし、あらゆることでストレスを感じたくないね。

誰とツアーを回るの?

イベントの半分はガールフレンドと一緒かな。
あとはコーチのリチャード’ドッグ’マーシュ。
彼のチーム全員と行動を共にすると思う。
でも、まだ本格的な計画は練っていないんだ。

 

五十嵐カノアを倒して優勝した2018年のポルトガル『EDP Billabong Pro Ericeira』

CTレベルだとコーチングでまるで変わるようだね。

何よりも安心感があるんだ。
私達は自分のしていることが十分だと分かっているけど、それを本当に信頼するためにセカンドオピニオンが欲しいのさ。
ドッグとは約7年間一緒にやっている。ずっと彼と仕事を共に出来ることは幸運さ。彼は私が求めているものを正確に知っているし、意思疎通も上手く取れている。
もし、サーフボードに確信が持てない時はアドバイスをくれるし、昼食のためにコンテストを離れている間、彼が私のためにコンディションを見ていてくれ、戻った時に彼の意見を信頼して完璧な計画を立てる。
そんな沢山の些細なことを彼は全て手伝ってくれるんだ。

ツアーに戻り、最も楽しみにしている場所は?

最初にツアーに入った時は期待を抱いていた。本当にイベントを楽しみにして向かったんだ。
でも、良いウネリが入らなかったり、自分が上手く結果を残せなかったりすると本当に落ち込んだし、2度とやりたくない気分になった。
そうは言ってもJ-Bayには早く行きたい。
あそこはサーフィンが凄い上手くなった気がするんだけど、前回はその可能性に到達することが出来なかったからね。

パイプラインにドロップ
PHOTO:© WSL/Cestari

あなたがツアーに参加していた年、J-Bayは平均的な波だったけど、この2年は最高の波だった。それを家で見ていたのは辛かったでしょう

そうだね(笑)。
辛かったよ。
でも、今年はQSのような波になることを期待しているんだ。
最初にツアーに参加した年は波を期待し過ぎたことが失敗の元だと思うから。
ワイルドカードで活躍したフランスのCTでは波があまり良くなかったけど、自分的にはQSのコンテストモードに入っていたので、それに比べてれば凄い良い波だと感じたのさ(笑)。
今年はその考え方を取り入れたいと思っている。

2019年、最も危険だと思うサーファーは?

それは良い質問だね。沢山いるよ。
ガブリエルは絶対、彼が最も危険だと思うよ。彼の適応力は素晴らしいし、まるで獣のようさ。
昨年、調子が良かった時のフィリッペは最高のサーファーだった。でも、全てのイベントではなかったよね。
ジュリアンは完全にスイッチが入った気がする。
昨年、タイトルレースにいて惜しかったけど、あれが彼の最高の年だとは思えないんだ。
それからジョン・ジョンが戻ってくるよね。彼は世界最高さ。
グリフィン、オーウェン、ジョーディ…。まだまだ沢山いるよね。

自分もその中に加わりたいな(笑)。

ワイルドカードで出場したパイプラインでは9位に。
PHOTO:© WSL/Cestari

もちろん、あなたもでしょう。そう考えないとね。

その通りだね。
最初のCTの時は目標を低く設定し過ぎてしまったのかも。
ツアーにいる全員に理由がある。そして、私達は世界最高の一人なんだ。
最初のCTの時はリクオリファイを期待するだけで、それは多分ベストな考えではなかった。
思い切り高望みをするよ。今年の目標はトップ5か、トップ10。
上手くいけばワールドタイトルレースに加わりたい。
シーズン中は見直すだろうけど、今は確実にスナッパーに気持ちが向かっている。優勝するつもりさ。
それが自分自身を向上させ、このレベルでの戦いを維持することを可能にする最善の方法だと思うんだ。

参考記事「Back On: Ryan Callinan|World Surf League

(空海)

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