“サーファーの車載率No.1” といわれた無料ガイドブック「ビーチコーミング・マガジン」がいよいよ最終号を迎えた。あなたはすでに手にしたであろうか。
本誌は、その前身となる「Surf Patrol TIDE TABLES」として1993年に創刊されて以来30年以上、全国のサーファーに愛用されてきた。
かつて、この誌面でしか得られなかった情報が、時代の流れとともにデジタルデバイスで入手できる様になり、独自性や希少性が薄れた感は否めないが、いざ最終号となると、紙媒体の一覧性や保存性などに加え、各人がこの本を通じて得た体験や経験を想い出すのか、惜しまれる声が各所から聞こえて来る。
今回は、そんな最終号に込められた声や特集内容の一部を、THE SURF NEWS編集部の視点から紹介したい。
感謝とともに綴られた「サーフィン33年史」
全国のサーフィンマップとお店ガイドが定番の本誌だが、最終号の巻頭特集企画では「ビーチコーミング・マガジンと振り返るサーフィン33年史」とし、創刊された1990年初頭から現在までの、サーフィン業界における国内外の主な出来事を、世間一般の時代の流れとともに振り返っている。
また、それらサーフィン界の変化とともに、本誌の発行元「株式会社ライズシステム」の歩みも掲載。冒頭では、同社代表を務める野村昇氏より、創刊当初のエピソードと感謝の言葉も綴られている。



定番の「エリアガイド」と「ルールマナー解説」
本誌のメインコンテンツである、サーフポイントマップ&ショップガイドは、その内容の特性上、毎年代わり映えのない内容にも見えてしまうが、、、。侮るなかれ、この情報は毎年の取材を重ね、地道に更新されてきたのである。
定番のサーフィンマップには、全国のメジャーなサーフポイント情報と、海近ではサーファーの定番ともいえる飲食店などを掲載。日本サーフィン連盟の各支部による「お願いとお知らせ」は、旅先ではもちろん、例え行き慣れた地域であっても、毎年一度は目を通してもらいたい内容だ

また、冊子後半にはサーフィンのルール&マナーも解説されているが、「サーフトリップの心得」は、ビギナーはもちろん中級者以上のサーファーも改めてチェックしてもらいたい。

※ちなみに最終号では、期間を限定することなく冊子を使用してほしいとの想いから、毎年掲載されていた「タイドカレンダー」は割愛された。
サーフカルチャーとともにあった紙媒体の記憶
“フリーペーパー” という言葉がまだ一般的でなかった時代に創刊され、33年目をもって最終号を迎えた「ビーチコーミング・マガジン」。
冊子バックナンバーを振り返ると、本誌の全盛期であった2000年前後はページ数も増え「これ無料なの?」と皆が驚いたものだ。大手サーフブランドや有名サーフショップなど、現代ではありえないほど多くの広告が掲載されており、当時、いかに多くの業界の賛同と支持を集めていたかが窺い知れる。

業界問わず印刷媒体が苦戦を強いられる中、サーフィン業界でも専門誌の廃刊が相次いでおり、このビーチコーミング・マガジンも後半は広告出稿数が激減してきたことも伺える。しかしフリーペーパーという特性と、本誌ならではの訴求力が評価されてか、本誌には古くから継続出稿をしている広告主が多いのも特徴的。
そして、創刊当所より長らく裏表紙のビジュアルを飾っていた「オッシュマンズ」が、なんと最終号でまた裏表紙に復活している点も、その熱い想いを感じた部分。
BCマガジン編集部には、今回が最終号だと聞きつけた過去の広告クライアントやサーフショップより「これまでありがとう」の連絡が何件も入ったとのこと。紙面には、自社のPR枠でありながら冊子への感謝を綴る広告もあるのだ。

全国のサーファー読者、業界関係者からも惜しまれつつ、「全国版」としては、今回で最終号となる「BEACH COMBING Magazine(ビーチコーミング・マガジン)」。
全国サーフショップ等での配布は4月下旬からスタートしており、例年より早く品切れとなってしまった店舗も多いとのこと。
同名称の波情報サービス「BCM」では、今後も新たなコンテンツ展開に注力していくとのことだが、この貴重な冊子最終号は必ず入手してほしい。主な配布先情報等は、以下の公式ページより。
BEACH COMBING Magazine
https://www.bcm-surfpatrol.com/newsandreport/detail/27293
(THE SURF NEWS編集部)