@ヨコノリスタイル

業界初の試み、ウェーブプールを利用したリアル展示会「ヨコノリスタイル」開催を終えて

2月21日(土)~22日(日)、静波サーフスタジアムにて初開催となった「ヨコノリスタイル2026」。
ウェーブプールという特異な環境を舞台に、著名サーフボードブランドが一堂に会した“リアル展示会”は、これまでの業界イベントとは一線を画す挑戦となった。

静岡県での開催という立地条件も影響したのか、来場者数は目標に届かなかったという声も聞かれた。しかし、エアコンテストの時間帯には観客がピークに達し、会場全体が熱気に包まれる瞬間もあった。集客面での課題が明確になった一方で、このフォーマットが持つ可能性を強く印象づける2日間となった。


ウェーブプールならではのコンテンツ

今回の最大の特徴は、やはり“波が保証されている”という点と、“パフォーマンスを間近で観戦できる”という点にある。 波という観点では、サーフィンイベントにありがちな海のコンディションに左右される不確定要素がない。ウェーブプールという舞台だからこそ、ボードの性能やライディングを来場者に確実に見せることができる。

また、注目を集めたエアーコンテストでは、決められたタイムテーブルの中で安定した波に合わせ、トップライダーが高レベルのパフォーマンスを披露。その光景は、従来のビーチ会場型展示会では実現しにくい一体感を生み出していた。 “試乗・体験・観覧”がシームレスにつながるこの形は、ウェーブプールならではの新しい展示会モデルと言えるだろう。

最終日のエアーコンテストを制した三輪紘也のアーリーウープ Photo: 静波サーフスタジアム/Shuji Izumo

著名ボードメーカーが一堂に会す

こうした「波」と「試乗」という要素が相まってか、本展示会場には国内外で実績を持つ著名ボードメーカーが集結した。 初開催につき出展が無料の流れもあったが、これはかつてのボードカルチャー展示会「インタースタイル」でもなかなか見ることができなかった光景であり、実際に“波のある環境”でブランドが横並びになるという構図は印象的だった。

各出展者からは、この新しいフォーマットに対する期待の声が聞かれた一方で、集客面などに関する課題も挙げられた。 特に印象的だったのは、「これだけの環境を整えてもらった以上、ブランド側としても、より積極的に発信すべきだったのではないか」という出展者側の声だ。主催者任せにするのではなく、出展各社がもう一歩踏み込んで盛り上げに関わる必要がある――そんな冷静な自己分析が共有されており、 反省と手応えの双方を抱えながらも、次回開催を見据えた前向きな姿勢が感じられる場面だった。

Photo: 静波サーフスタジアム/Shuji Izumo

次回開催に向けて、さらなるチャレンジ

主催するサーフスタジアムジャパンは、すでに次回開催に向けて動き始めているという。各出展者へのアンケートを実施し、改善点の洗い出しも進行中だ。注目を集めたエアーコンテストに高額賞金を設定する案なども浮上しているが、その一方でスポンサー確保という現実的な課題もある。 また、“波”は保証されているとはいえ、屋外イベントである以上、天候という要素は避けて通れない。それでも、出展者からは前向きな声が多く聞かれた。

第1回という挑戦の中で見えた課題と手応え。その両方を踏まえれば、「ヨコノリスタイル」は確実に次へとつながる一歩と言えるだろう。 進化する「ヨコノリスタイル」の第2回開催を期待したい。


現地フォトリポート

Photo: THE SURF NEWS
Photo: 静波サーフスタジアム/Shuji Izumo

エアーコンテスト

メインイベントとなったエアーコンテストには、各出展メーカーからのエントリーを中心に豪華メンバーが揃った。
出場したサーファーは、佐藤魁、三輪紘也、古川海夕、原田空雅、山本來夢、高井汰朗に、初日は矢作紋乃丞、2日目に大原洋人が加わり、各日7名での争いとなった。

初日メンバー Photo: 静波サーフスタジアム/Shuji Izumo
2日目 Photo: 静波サーフスタジアム/Shuji Izumo
優勝者を決めるのはオーディエンス Photo: 静波サーフスタジアム/Shuji Izumo

今回エアーコンテストは、会場にいるオーディエンスがジャッジ、一番盛り上げたサーファーが優勝という特別ルール。
初日はレギュラー/グーフィーとそれぞれのブレイクを交互に争い、2日目はライダー自身がレフト/ライト含む好みのウェーブを1本ずつ選択する方式で、「マックハイ」や「ハイボール」など、STAB HIGH JAPANでも使用されたエアー波を出力。

各選手がそれぞれ最大のパフォーマンスを披露し、初日は矢作紋乃丞、2日目は三輪紘也が優勝を手にした。

矢作紋乃丞 Photo: 静波サーフスタジアム/Shuji Izumo
三輪紘也 Photo: THE SURF NEWS

有限会社ラス・オラス(…Lost etc)

Photo: THE SURF NEWS
Photo: THE SURF NEWS

ウェーブプールでの試乗会ということもあり、全体的にEPS素材のボードが多くラインアップされていたLOSTサーフボード。チームライダーらのフィードバックで誕生した新素材「LIGHT SPEED2」のボードは、デッキ面に配置されたオリジナルのファイバーグラスによって、さらなる安定感と高速ターンを実現。
近年は40~50代のユーザーも増え、ボリュームのある板やオルタナティブ系も人気だが、共にアクション性を追求したモデルも多く、静波サーフスタジアムでも多くのユーザーが使用していた。

株式会社マニューバーライン(CHANNEL ISLANDS SURFBOARDS)

多くの著名モデルがラインナップしたチャネルアイランズサーフボード。中には撮影不可のニューモデルも Photo: The Surf News

注目を集めていたチャネルアイランズのブースでは多数の最新サーフボードがズラリ。マイケル・フェブラリー発案のツインフィン「M13」から進化した「M23」や、お馴染みの「ハッピー」シリーズ、デーン・レイノルズのDD2などオールラウンドボードはもちろん、Devon Howardとのコラボで世界的ヒットとなったCI MIDやCI LOGまで、多彩なサーフボードがフルラインナップ。環境配慮型カーボン素材を用いたボードも並んだ。

22日(日)のマニューバーライン貸切セッションには村上舜も登場し、第3回ジャパンオープン(2022年)後、久しぶりとなるプールでのライディングを披露。

TUITEL INC.(SHARP EYE)

最新テクノロジー「E3-LITE」 Photo: THE SURF NEWS
Photo: THE SURF NEWS

「File Fifty」や、「HT2」とのその進化版の「HT2.5」など、人気モデルが多数ラインナップする中、ウェーブプールでの試乗を想定してEPSボードを中心に用意。
エポキシ巻きの最新テクノロジー「E3-LITE」は、しなりを生み出す構造によって日本の小波コンディションでも威力を発揮。これから発売予定のニューモデル、5プラグ仕様の「レーダー」も仮ディケールで展示されていた。

JS INDUSTRIES JAPAN

Photo: The Surf News

日本法人代表の大原洋人をはじめ、インターナショナルでは五十嵐カノアも活躍するJS Surfboardsは、今、勢いを増して注目を集めるサーフボードブランドのひとつ。新モデルでは、パフォーマンスボードの「ゴールデンチャイルド」がリニューアルされ、「モンスタ」シリーズも10まで展開しており、今年は試乗会の開催数を増やしていく予定だという。22日(日)には、JS Surfboardsとして1時間の貸切セッションを実施し、キッズを中心としたスクール生たちも参加した。

HAYDENSHAPES

Photo: THE SURF NEWS

オーストラリア発のサーフボードブランド、ヘイデンシェイプスは、革新的なデザインと戦略的マーケティングで世界的な評価を獲得してきた。創設者でありシェイパーのヘイデン・コックスは、数学的なバランス感覚に裏打ちされた独自の設計思想を持ち、初心者からプロサーファーまで誰もが「調子いい」と実感できるボードづくりを追求しているという。
ブランドを象徴するモデル「Hypto Krypto(ヒプトクリプト)」は、アメリカで2回、オーストラリアで1回、合計3回のサーフボード・オブ・ザ・イヤーを受賞。オールラウンド性能とスピード、安定性を高次元で融合させたその完成度は、リピーターも非常に多いようだ。

DHD SURF JAPAN

Photo: THE SURF NEWS

正規ディーラーによる販売を重視しているDHD。ダレン・ハンドレー が自身のスタンスとして展示会では新作ボードのみを披露することを徹底しているという。今回、6本のボードを持参したが、そのうちのMick Lightning(ミックライトニング)は旧「MF-TNA」からの最新モデル。販売約2ヶ月でチームライダー全員が良好な結果を出しているほど好調なボードとのこと。また、フェニックス・ライトは小波に特化した以前の「フェニックス」を軽量・調整したモデルで、テールを薄くしコントロール性を向上。ネクサスは3DVモデルのボリューム感とアウトラインを取り入れた「コンペティティブ」志向のモデル。INTERCEPTERはハイパフォーマンス仕様のミッドレングス で、5プラグ設定によりクワッド、2+1、ツインにも対応。

NEWAVE

via kickstarter

サーフトリップを手軽にする組み立て式サーフボード「NEWAVE」は、都市生活者向けに設計された9パーツ分割型で、電車移動や自宅保管といった課題を解消する次世代型サーフボード。耐久性も高く、組み合わせ次第で幅広いサイズの波に対応可能。価格はパーツ単価約1,000ユーロに対し基本パーツで15〜20万円、フルセットで約50万円を想定。今後は直販ECを軸に展開予定ながら、可搬性と利用シーンを訴求するコンテンツを通じて都市サーファーの需要喚起を図る戦略を進めている。鎌倉の高校生がリュックにボードを入れて電車で海へ向かい、実際にボードを組み立て、サーフィンをするという短編動画も制作予定。

株式会社ワンワールド

Photo: THE SURF NEWS
ここ数年で認知度がさらに向上した日本初のTLSのギア Photo: THE SURF NEWS

幅広いサーフィン用アイテムを取り扱うワンワールドのブースでは、TLSより新柄のポンチョ、新素材のトラクション、進化したリーシュコード等がラインナップ。中でも推しの新商品は、コナー・オレアリーのシグネチャートラクション。グリップ力や軽量性といったTLSらしい基本性能はそのままに、彼のフィードバックを受けてテール側の形状を変更。幅広いボードサイズにフィットする仕様へと進化した。

OBISPO CO (SMELLY BALLS)

Photo: THE SURF NEWS
Photo: THE SURF NEWS

オーストラリアで人気急上昇中のSMELLY BALLSは、ウールフェルト製のハンドメイドエアフレッシュナーで、オーストラリアとニュージーランドのサーフショップやセレクトショップの約90%で取り扱われている。
遊び心あふれるカスタムアイテムで、サステナブルな素材を使用しており一度購入すれば長く使用できる。香りはユーカリを基調に、森をイメージした心地よい空間を演出。色ごとに異なる香りを楽しめ、シチュエーションや気分に合わせて自由に調整できる。オーストラリアのサーファー文化や自由なライフスタイルとも深く結びついた製品、現在はECサイトと一部代理店でのみ取り扱っているが、今後はより多くの人々に体験を届けるため、ブランドの拡大を挑戦していく。

PSO-RITE(ソー・ライト)

Photo: THE SURF NEWS
Photo: THE SURF NEWS

実際に体験すれば、その効果をすぐに実感できる。体の部位ごとに使い分けられる4つの異なる形状を備えた、アメリカ発祥のコンディショニングツール「ソー・ライト」。累計100万個以上の販売実績を誇る人気アイテムだ。筋肉に的確なプレッシャーを与え、関節まわりまでアプローチ。いまやスポーツ界のトップアスリートにとって欠かせない存在となっている。近年ではサーファーからも「サーフィンに非常に効果的」と高い評価を獲得。現在はサーフィン市場へ本格的にピボットし、波に乗る前後のコンディショニングや身体ケアをサポートするアイテムとして展開を拡大している。
より多くのサーファーのパフォーマンス向上を支える存在へと進化を続けている。

取材協力:静波サーフスタジアム
https://www.surfstadium-japan.co.jp/

(THE SURF NEWS編集部)


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