F+(エフプラス)
さて、カレンダーコラム最終回。
12月といえばパイプ、パイプといえばジョンジョン、という短絡的な選び方だけど、2025年はパイプしか出なかったし、バロン・マミヤにやられて9位だったので、あれこれ選択肢があったわけでもない。チューブの写真というのはけっこう難しくて、かぶってしまえばなんだかわからない波だけの写真になるし、この写真より前のタイミングだとサーファーが落ちてくるリップの影に入らなくてきれいなんだけど、迫力に欠ける。
水中からだと奥にいるのもわかるわけだけど、ランドショットよりサイズがだいぶ小さく見えるのが普通だ。まぁ、ランドショットならこのタイミングしかないのかな、と思う。出すぎず隠れすぎず、でもこのまま確実にチューブインというのがわかる絶妙なところ。
これは正面だけど、もっと左からのショットも絵になる、だけど、それ狙って左に行ってしまうとパイプ側が手薄になるわけで、パイプ、バックドアのピークはカメラマンがどこに構えるかで写真が変わってくる。
子供のころから慣れ親しんだパイプ、バックドアのピークでサーフィンしているジョンジョンを見ると、本当に心から遊んでいる感じというか、攻めているけど余裕というか、緊張感がなく、リラックスしている感じ。今、この写真の瞬間も、次の瞬間には自分はこのバレルの奥のほうに位置するからスピードはこんな感じかな・・・みたいな、すべてわかっていて計算できていて、対応できている感じ。この降ってくるリップラインのどこが出口なのかもわかっていて、視線はしっかりそこを見ている。そりゃかなわないよなぁ、と思わせる選手のひとり。


上の写真はCTルーキーイヤー、2012年のもの。華奢だけど、サーフィンスタイルはそんなに変わらないのかなぁ、と思う。当時のジョンジョンの問題点はサーフィンはうまいのに試合が下手、みたいなことだった。これ14年前のサーフィンだけど、そんなに古くは見えない。初タイトルは2016年で、デビューから4年ほどかかった。
ジョンジョンのCT辞退の心変わりのこれといった理由は結局出てこなくて、やはり自分のクルーザーで旅をしてフィルミングのほうが、ツアー回るより魅力的ということに尽きるのかな、と思う。まぁ、すでに3度のワールドタイトルをとっていて、次目指すとなればケリーの11と、最短でもあと8年はかかるわけで、なかなかそこ目指して懸命に努力しましょう、というのは現実的な目標ではないのかな。オリンピックで金メダルは取りたいだろうけど、それは2028年のツアーでいいわけで、もう少し休んでいられるだろうと思っているかも。まぁ、その間世界中のいい波でサーフィン極めるわけなので、無駄でもないだろうし。WSLの復帰発表がフライングって可能性もあるか。
スプレーマニアのコラムから、“マニアックに1枚の写真を見る”ということを継続しているわけだけど、やはりカメラマンとしては1枚の写真のディテールを見てほしいと思うわけですね。カメラ機材が飛躍的に進化を遂げて、今や特別な技術がなくてもサーフィンカメラマンなんて普通になれる(なれるけど食えない(笑))わけだけど、フレームの中に何を入れるかとか、どこで止めたショットを選ぶかとか、そこにはやはり個人の好みや思い入れがある。今はもうなかなか一枚の写真をじっくり眺める、みたいなことは少なくなってきているだろうけど、サーフィン雑誌華やかなりし頃は、どの雑誌にもポスターとか見開き写真とかあって、壁に貼っては毎日飽きずに見る時代があった。少なくともケリーたちの年代までは誰しもがそういう子供のころの思い出を持っていて、子供部屋の天井とかベッドわきの壁とかに、あの世代なら大抵はトム・カレンがいたものだ。そのあとの世代だと、それがケリーになる。
写真やビデオを見て、ただひたすら真似をする。スポーツ上達の基本はうまい人の真似をする、なので、誰もがそんなことをやったものだ。
そういう子供たちは指先の角度まで観察していたりして、とことんコピーした。彼らとそういう話をするのは楽しく、興味深い。
動画だと流れて行ってしまうものが、写真だとしっかり止まっているので、ディテールを掘り下げるには動画より写真のほうが多くを語ると私は思う。サーフィンの上達にビデオは欠かせないけど、静止画像もしっかり観察してほしいと思う。なぜそんな体勢になってしまうのか、なぜこんな形のスプレーが出るのか、なぜワイプアウトしたのか、バランスが崩れるきっかけは何だったのか……ひとつひとつ細かく観察して答えを出して解決していくことが、上達の近道だ。理由のない失敗は無い。














