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「サーフィン盛り上がりのバロメーターとなるもの」 – F+

F+(エフプラス)

オーストラリアのサーフィン盛り上がりのバロメーターというか、目に見えるものとしては、まだ紙の雑誌がしっかりニュースエージェンシーに売っている、ということがある。しかも平積みで。まぁ、トーキーというサーフタウンということもあるけど、空港の雑誌売り場にもあったしな。
日本で本屋さんに行くことがほぼないので、現状はわからないけど、紙のサーフィン雑誌が盛り上がってるとはウソでも言えない状況だと思う。
しかしこれらのオーストラリアのサーフィン雑誌は、どれも名前こそ変わってはいないものの、内容は大きく変わっていて、WSLのダの字もないというか、完全なる非コンペ方向というか、アメリカのサーファーズジャーナル方向というのが最も正しいような感じの内容だ。旅と歴史と懐かしの70-80年代的な、若いころから60代になった今でもサーフィンしてるからねー、みたいな人々が喜びそうなラインだ。
まぁ、40周年のスペシャルイシュー的なオーストラリアンサーフィンライフは当然そういった内容になるだろうけど、トラックスも似たようなもので、「カットバックへのラブレター」というノスタルジックなタイトルがついていた。
なんか、みんな頑張ってるなぁ、って感じ。かつてはそこで働くライターとかカメラマンとかと頻繁に取引をしていたので、サーフバブル崩壊後、続々消えていった日本の紙媒体を思えば夢のような話ではある。しかしそこにはコンペシーンはない。

考えてみたら、ASPからWSLになって、アメリカのメジャースポーツシーンを手本にどんどん改革を重ねてきたWSLにまるでついてこなかったのが、これらの雑誌を楽しむ世代だと思う。WSLもWSLで、古くからのサーフファンを捨ててでも新しいファン層の獲得にまい進した。その結果、新しいファンは思ったようにつかず、古いファンは去っていった。カレン、オッキー、ロブ、ケリー、アンディ、ミック、パーコ……せいぜいジョンジョンまで? 何ならジョンジョンですらないような、サーフィンブームのど真ん中にいたファンたちは、彼らにとってのスター不在の今のコンペシーンには魅力を感じないんだろうな、と思う。

(ジョン・ジョン・フローレンス、2016年) Photo by snowy

あまりにも数字的な、あまりにも優等生な、あまりにもカラーやキャラがないような、サーフィンはエキサイティングがすべてではない、と思うファンたち。それこそが昔ながらの「ザ・サーフファン」であり、どうやら今回のWSLの2026年スケジュールに始まる改革の目標は、手放してしまった彼らと再びコネクトしたいということらしい。

オーストラリアで新しいCEOと話をしたというインサイダーによれば、サーフファンともう一度コネクトする、というのが彼のファーストミッションだという話だったという。それはイコールより小さなマーケットだけど、そこは確実に手にしたいという方向で、正解だけど、昔に戻る後退感はぬぐえないだろう。そして、「ザ・サーフファン」にとってのスターたちがすでに不在の今となっては、果たしてスケジュール変えるぐらいで彼らがまたコンペに関心を持つのかどうかは、疑問だ。そんなことで彼らが戻るのだろうか?
彼らはまだそこにいるのだろうか? オーストラリアでパラパラめくった雑誌は、どれもコンペとは正反対の方向だったけど……。

もうひとつ。残念なことに、トリプルクラウンの復活はなさそうだという。12月のパーミットはヴァンズからWSLに行ったが、WSLはまだ2月のパイプの試合のパーミットも持っていて、これはおそらくCSイベントに使われるのではないかということだ。CSじゃなくて、マスターズスペシャルのほうがウケるんじゃね? 

F+編集長つのだゆき

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