2度の表彰台を経て現在CTランキング3位とキャリア最高のシーズンを送っている五十嵐カノア。
「EYE OF THE STORM」の最新回は2025年CT9戦目となるブラジル編。
「WSL Finals」を入れると合計12戦ある中で最も情熱的なファンがいるイベントになる。
クイックシルバーロゴ誕生秘話と旅の知恵

Image: Kanoa Igarashi(YouTube)
まずはブラジルで着用するウェアを手にいれるため、ジム帰りに近くの「Quiksilver」のオフィスへ向かったカノア。
オフィスではクイックシルバーのロゴ誕生秘話を熱心に聞いていた。
「“山と波”のロゴの話をするよ。グリーニー(創業者の1人)がパブである配管工に『サーフィン用のショーツを作るんだ』って言ったんだって。でも、その配管工は酔っ払ってて『なんだそれ』って反応だったらしい。
でも、グリーニーが『寒いとき用のブーツも作るんだ』って言ったら、彼がナプキンに“山と波”を描いてくれて、それが今のロゴになった。星は南十字星。オーストラリア発祥のブランドであることを象徴している」

Image: Kanoa Igarashi(YouTube)
ブラジルの次はすぐに南アフリカのJ-bay戦が控えている今回の旅。
ビーチブレイクとリーフブレイク。全くタイプの違う波用のボードを二つのボードケースに分けて持って行くことになるが、どちからのボードケースが紛失しても大丈夫なように、ブラジル用と南アフリカ用を混ぜて入れるようにしているそうだ。
これもツアー歴を重ねて生み出した知恵だろう。
ブラジル到着から試合前日

Image: Kanoa Igarashi(YouTube)
ブラジル到着後から試合前はスモールコンディションが続いていた。
そんな中でもウォーミングアップをするカノア。
相変わらずJSサーフボードは調子良さそうだが、2位になったローワーズで使用したマジックボードは壊れてしまったとか。
代わりの似たボードは浮力がある分、バンピーな波が多いブラジルでは有効で、サイズが上がった時はバーレーヘッズで使用したマジックボードを使用すると話していた。
「Redbull」ハウスでは親友のロボことジャック・ロビンソンと合流。
「EYE OF THE STORM」に何度も出演している彼女のハヴァナ・エレナ・カブレロ、ロボ一家(子供のZenも)とイベント前の癒しの時間を過ごす。
試合開始

Image: Kanoa Igarashi(YouTube)
試合初日、彼女のハヴァナと自転車で会場に向かったカノア。
残念ながらOpening Roundはラウンドアップを果たせず、Elimination Round行きになった。
ヒート後はコーチのスネークと反省会を行い、気持ちを入れ替える。
大会2日目、開催の確率は50/50と言われ、準備万端だったが、オフがコールされた…。
「さっきのクリップを撮ってから20秒後に“中止”って発表された。もう、何していいか分からないよ。今日は中止、明日も中止。もう全部パッキングして準備万端だったのにね。頭の中では『あと2時間20分で試合だ!』って思っていたのに、今は『あと48時間、いや50時間後だな…』って感じさ」
前夜は試合に備えて早めに就寝したため、楽しみにしていたNBAプレーオフの「ペイサーズ vs ニックス」戦も見逃したカノア。
待つこともプロサーファーの仕事の一つなのだ。
(染谷たかし)