(大観衆が押し寄せた初日) PHOTO: © WSL/Thiago Diz

CT第9戦『VIVO Rio Pro』トップ5が次々と敗退した波乱の初日

現地時間6月22日、ブラジルのサクアレマのイタウナビーチを舞台としたCT第9戦『VIVO Rio Pro』が開幕。
初日は公式2-4ftレンジのレフトメインのコンディションでメンズ、ウィメンズ共にOpening Roundが進行。
ウィメンズはElimination Roundも行われ、早くもQFを戦うベスト8が決定した。

(会場のイタウナビーチ)
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(ブラジルのサーフィン人気は本当に凄い)
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この日の主な話題はタティアナ・ウェストン・ウェブ(BRA)、アレナ・ロドリゲス(PER)の二人のワイルドカードの躍進。
パワーサーフィンでハイエストスコアを出したモリー・ピックラム(AUS)&コール・ハウシュマンド(USA)の圧巻のパフォーマンス。
ルーキー・オブ・ザ・イヤーの有力候補、エリン・ブルックス(CAN)&ジョエル・ヴォーン(AUS)が快勝など。

ウィメンズはトップ5の内、4名が敗退する波乱の初日になった。
そして、ビーチには大観衆が押し寄せ、南米屈指のサーフイベントらしい熱気に包まれた。

カノア&コナーはElimination Roundへ

(五十嵐カノア)
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シーズン後半戦はOpening Roundでの通過が1位のみで、他2名はElimination Round行きとフォーマットがシビアになっている。
オープニングヒートに登場したコナー・オレアリー、H2の五十嵐カノア共に2位でElimination Round行きとなった。

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(コナーもElimination Round行き)
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ラウンドアップした3名のブラジリアン

(イタロ・フェレイラ)
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コナーのヒートを通過したのは、ディフェンディングチャンピオンのイタロ・フェレイラで、ミゲル・プーポ、フィリッペ・トレドと共に母国の何千人ものファンの前でラウンドアップを決めたブラジリアンの一人になった。

「またブラジルに戻れて本当に嬉しい。去年、ここサクアレマは自分にとって最高の瞬間の一つだった。また同じ舞台に立てるチャンスがあるなんて嬉しいよ。最初の相手はセス・モニーツとコナー・オレアリーという素晴らしいサーファーだった。良い波を探すのは大変だったね。カレントが強いし、ホワイトウォーターもあるし、ちゃんとしたフェイスのある波を見つけるのが難しんだ。でも、チャンネルからの一本が良かった。最後の波もまあまあ良かったけど、最後のターンで転んじゃったね。まだ最初のヒートだし、凄くワクワクしてるよ」

PHOTO: © WSL/Camila Othon
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(ブラジルで4度の優勝経験があるフィリッペ ・トレド) PHOTO: © WSL/Camila Othon
(ヒート終了後のフィリッペ とジョアオ)
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(ミゲルも次に繋げた)
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ルーキー・オブ・ザ・イヤーの有力候補

(ルーキー・オブ・ザ・イヤー候補のジョエル・ヴォーン)
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カノアのヒートを制したのは、ルーキーのジョエル・ヴォーン(AUS)で、ブラジルのビーチブレイクらしいトリッキーなコンディションに苦戦したカノアとアレホ・ムニーツ(BRA)を相手に6ポイント台を2本揃えて快勝。

「ブラジルにまた来ることができて最高だよ。ここのビーチと観客のエネルギーが大好きなんだ。本当にワクワクしている。シンプルに自分のサーフィンに集中していい波を狙うことを心がけた。勝てて嬉しいね」

21歳、NSW州のノースシェリー出身のジョエルはCS時代にサクアレマで3位になり、クオリファイの大きな助けとなった。
その他、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを争う選手ではアラン・クリーランド(MEX)がこの日2番目に高いスコア7.33を出して勝ち上がった一方、昨年のサクアレマでのCSで優勝したマルコ・ミニョ(FRA)はElimination Round行きを強いられている。

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(エリン・ブルックス)
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ウィメンズサイドのルーキー・オブ・ザ・イヤーの有力候補、エリン・ブルックス(CAN)は2023年にサクアレマでのCSで優勝経験があり、ベティルー・サクラ・ジョンソン(HAW)、イザベラ・ニコルス(AUS)とのOpening RoundのH1でもホームのようにレフトを乗りこなしていた。

「ブラジルが大好き。波も凄い楽しいし、レフトの波が特に好き。ここに来られて本当に嬉しいわ。朝早く起きて海に来た時は波が小さかったけど、日が昇るにつれてサイズアップして、チャンスも沢山あった。だから積極的に動いて、運良く波に乗れたわ」

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ハイエストスコアを出したモリーとコール

(初日のハイエストスコアを出したvモリー・ピックラム)
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初日のハイエストスコアはモリー・ピックラム(AUS)の7.83とメンズはコール・ハウシュマンド(USA)の8.00。
両者共にクリティカルセクションでのアグレッシブなターンで、ジャッジを唸らせていた。

22歳のモリーが7.83を出したのは、キャロライン・マークス(USA)とルアーナ・シルヴァ(BRA)とのOpening RoundのH4。
3〜5ポイントがアベレージだったこのヒートでそのライディングは際立っていた。

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現在ランキング3位のモリーはカリフォルニア戦で2位に入った調子の良さをブラジルでも維持してQF進出。
Elimination Roundでは、ガブリエラ・ブライアン(HAW)、ケイトリン・シマーズ(USA)、ベティルー・サクラ・ジョンソン(HAW)、イザベラ・ニコルス(AUS)とトップ5の他の選手が全て姿を消したため、ライブランキングでは3位から2位に浮上。
このイベントでカレントリーダーの座を手にいれる可能性もある。

「今朝はちょっと頭がぼんやりしてたけど、しっかり波に乗れて、このウネリにうまく対応できて嬉しかっわ。エリミネーションラウンドを回避できて本当に嬉しい。ブラジルは絶対に勝ちたい場所。エネルギーが最高で、大好きな友達も沢山いる。今年は何度かファイナルには行ったけど、まだ勝ちきれてない。だから今は、ただひたすら扉をノックし続けてる感じ。いつか開くことを信じて、毎ヒート全力で挑んでいる。トロフィーを持ち帰れるように頑張るわ」

(コール・ハウシュマンド)
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Opening RoundのH4でカレントリーダーのジョーディ・スミス(RSA)、ワイルドカードのガブリエル・クラウスナー(BRA)と対戦したコールも他選手がスコアを伸ばせない中、後半にフロントサイドで2ターンのコンビネーションを決めて8.00を出した。

「特別な戦略はなかったけど、レフトを見つけていた。正直、調子はあまり良くなかった。実質2分間のヒートだったけど、その中で2本の波に乗れてよかった。観客の盛り上がりが本当に凄いね。ここで勝ちたいって思わせるのはこの人たちのおかげ。まるで満員のスタジアムでサーフィンしてるみたい。何千人もいると思う。ここで勝てたら最高だろうね。でも一戦一戦を楽しんでるよ。ここでの生活は凄く気に入ってる。お気に入りの場所のひとつなんだ」

コールと同じ、サンクレメンテクルーのクロスビー・コラピントもOpening Roundを通過してRound of 16進出。
カリフォルニア戦のファイナルでカノアを倒したヤゴ・ドラ(BRA)、ワイルドカードのピーターソン・クリサント(BRA)を倒していた。

兄のグリフィンはフィリッペ・トレド(BRA)、ジョアオ・チアンカ(BRA)と二人の強豪ブラジリアンに挟まれ、Elimination Round行きとなった。

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QF行きを決めた二人のワイルドカード

(タティアナ・ウェストン・ウェブ)
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すでにベスト8が決定したウィメンズサイドでは、二人のワイルドカードが躍進。

数ヶ月の休養を経て、ブラジル戦に限って復帰した形となったタティアナ・ウェストン・ウェブ(BRA)はケイティとタイラーを相手に初日で2番目のスコアとなる7.00を出してトータル12.17で圧勝。
このヒートでは唯一のグーフィーフッターとなったタティアナは、フロントサイドとなるレフトでパワフルなターンを重ねていた。

「またみんなと海に入るのはすごく不思議な感覚だった。実は今朝のイタウナでのサーフィンが試合前の初サーフだったの。とにかく楽しみたくて、自由に自分のサーフィンを表現したかった。今年の初めは、正直、「自分の心・体・魂」が繋がっている感覚が持てなかった。休みを取ってメンタワイで良い波に乗って、夫や家族、大切な人たちと沢山の時間を過ごせた。それが本当に宝物だった。だから今ここにいられることが本当に嬉しい。実は今年一杯休むつもりだったんだけど、ここは私のホームでもあるし、イタウナの空気、そしてブラジルのファンが本当に最高だから戻ったのよ」

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(アレナ・ロドリゲス)
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もう一人のワイルドカードはCT初出場のアレナ・ロドリゲス(PER)で、Elimination Roundではカレントリーダーのガブリエラ・ブライアン(HAW)とのクロスゲームを制する大金星を挙げた。

「勝ち上がれて本当に嬉しい。このヒートは自分でも満足できる内容だったし、ずっとレフトの波を探していたの。朝は良さそうだったのに、乗りたい波に乗れなくて。でも、このヒートではしっかり自分のサーフィンを見せられたし、ナンバーワンに勝てたのが最高。ガブリエラ・ブライアンは今年ずっと凄いサーフィンをしている。彼女のスタイルが大好きよ。今クォーターにいるなんて本当に信じられないし、全然緊張してないの。全部吸収しようって思ってる。だってトップ選手は絶対にミスをしないし、こっちのミスはすかさず突いてくる。だからこそ、今この瞬間を大切にしてる。本当に色んな気持ちが込み上げてきてるわ」

19歳のアレナは、2023年以来、久々に出場したニューキャッスルのCSで9位に入り、リージョナルでトップの選手としてワイルドカードを獲得。
そして、今シーズン絶好調のガブリエラとのゲームに勝つというコンペティターとしては最高の自信と弾みを手にする結果となった。

QFはモリーと対戦する。

ネクストコールは現地時間6月23日の6時45分(日本時間の同日18時45分)

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VIVO Rio Pro Presented by Corona Cero Women’s Opening Round Results: 
HEAT 1: Erin Brooks (CAN) 11.56 DEF. Bettylou Sakura Johnson (HAW) 10.10, Isabella Nichols (AUS) 9.66
HEAT 2: Lakey Peterson (USA) 9.56 DEF. Gabriela Bryan (HAW) 8.20, Arena Rodriguez (PER) 4.13
HEAT 3: Tatiana Weston-Webb (BRA) 12.17 DEF. Caitlin Simmers (USA) 9.00, Tyler Wright (AUS) 7.27
HEAT 4: Molly Picklum (AUS) 13.50 DEF. Caroline Marks (USA) 9.60, Luana Silva (BRA) 6.30

VIVO Rio Pro Presented by Corona Cero Men’s Opening Round Results: 
HEAT 1: Italo Ferreira (BRA) 12.43 DEF. Connor O’Leary (JPN) 11.20, Seth Moniz (HAW) 7.47
HEAT 2: Joel Vaughan (AUS) 13.33 DEF. Kanoa Igarashi (JPN) 6.34, Alejo Muniz (BRA) 4.97
HEAT 3: Crosby Colapinto (USA) 12.50 DEF. Yago Dora (BRA) 10.60, Peterson Crisanto (BRA) 7.77
HEAT 4: Cole Houshmand (USA) 13.30 DEF. Gabriel Klaussner (BRA) 10.90, Jordy Smith (RSA) 9.43
HEAT 5: Alan Cleland (MEX) 12.33 DEF. Jake Marshall (USA) 9.97, Barron Mamiya (HAW) 8.33
HEAT 6: Miguel Pupo (BRA) 12.00 DEF. Ethan Ewing (AUS) 8.93, Marco Mignot (FRA) 8.24
HEAT 7: Leonardo Fioravanti (ITA) 13.84 DEF. Jack Robinson (AUS) 10.83, Rio Waida (INA) 6.56
HEAT 8: Filipe Toledo (BRA) 12.90 DEF. Joao Chianca (BRA) 11.23, Griffin Colapinto (USA) 8.57

VIVO Rio Pro Presented by Corona Cero Women’s Elimination Round Results: 
HEAT 1: Arena Rodriguez (PER) 8.90 DEF. Gabriela Bryan (HAW) 6.50
HEAT 2: Tyler Wright (AUS) 11.90 DEF. Bettylou Sakura Johnson (HAW) 9.63
HEAT 3: Luana Silva (BRA) 10.47 DEF. Caitlin Simmers (USA) 10.24
HEAT 4: Caroline Marks (USA) 11.43 DEF. Isabella Nichols (AUS) 9.57

VIVO Rio Pro Presented by Corona Cero Men’s Elimination Round Matchups: 
HEAT 1: Jordy Smith (RSA) vs. Gabriel Klaussner (BRA)
HEAT 2: Ethan Ewing (AUS) vs. Marco Mignot (FRA)
HEAT 3: Yago Dora (BRA) vs. Peterson Crisanto (BRA)
HEAT 4: Jack Robinson (AUS) vs. Rio Waida (INA)
HEAT 5: Kanoa Igarashi (JPN) vs. Alejo Muniz (BRA)
HEAT 6: Griffin Colapinto (USA) vs. Joao Chianca (BRA)
HEAT 7: Barron Mamiya (HAW) vs. Seth Moniz (HAW)
HEAT 8: Jake Marshall (USA) vs. Connor O’Leary (JPN)

VIVO Rio Pro Presented by Corona Cero Women’s Quarterfinal Matchups: 
HEAT 1: Caroline Marks (USA) vs. Tatiana Weston-Webb (BRA)
HEAT 2: Tyler Wright (AUS) vs. Luana Silva (BRA)
HEAT 3: Molly Picklum (AUS) vs. Arena Rodriguez (PER)
HEAT 4: Lakey Peterson (USA) vs. Erin Brooks (CAN)

WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/

(黒本人志)

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