(2年連続の表彰台に近づいた五十嵐カノア) PHOTO: © WSL/Ed Sloane

五十嵐カノアがQF進出!『Rip Curl Pro Bells Beach』5日目

現地時間4月9日、オーストラリア・ベルズビーチを舞台としたCT開幕戦『Rip Curl Pro Bells Beach』は公式3-4ftレンジのクリーンなウィンキーポップでウィメンズR2の残りヒートとメンズR3が進行。
大会5日目にしてQFを戦うベスト8が決定した。

波数は少なかったものの、この日のウィンキーポップは完璧に近く、世界トップらしい異次元のライディングが連発。
多くのハイスコアが生まれた1日だった。

(波数は少なかったものの、完璧に近かったウィンキーポップ)
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2年連続の表彰台に近づいた五十嵐カノア

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昨年のベルズ戦では親友のロボことジャック・ロビンソン(AUS)と表彰台に上がった日本の五十嵐カノア。

今年はR2で返り咲き組のモーガン・シビリック(AUS)をカノアらしいクレバーな戦略で抑え、R3もリズムを崩さなかった。

R3の対戦相手は、ベテランブラジリアンで今シーズン限りの引退を発表しているアレホ・ムニーツ。

コーチのスネークことジェイク・パターソンの指示通り、急速に潮が上げて波数が少なくなることを考え、序盤に入ったセットを活かした。
1本目でクイックなスナップから深いボトムターンに入り、2ターンからフィニッシュまでメイクして6.67。更にプライオリティを持っていたアレホの手前で波をキャッチしてスピードをつけてからのエアーリバースをメイクして6.00と前半でトータル12.67をまとめる。

一方、アレホは焦りからかミスが目立ち、エアーしても着地を決められず、スコアも4ポイント止まり。
最後はカノアが定石通りにプライオリティを活かし、QF行きを決めた。

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(アレホ・ムニーツ)
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カノアの勝利者インタビュー

MC:コーチのスネークが、潮が上げてくるから、とにかく早くスタートを切らなきゃいけない。相手だけでなく自然とも戦っているんだとアドバイスしていたよね?

カノア:全くその通りだったよ。ヒートが始まる前、彼に「潮が上げるのが早いから、早めに波に乗っておけよ」と言われた時、実はちょっと笑ってしまった。でも、いざ入ったら、本当にその通りだったね。今日は波に段階がある感じで、ヒートごとに波の基準を少し下げて選り好みしない必要があると感じた。でも、いざ波が来ると最高の形で、本当に楽しかった。ついつい攻め過ぎてしまいそうになったので、自分を抑えるようにしたのさ。35分間で2本しか波に乗っていないなんて信じられないけど、時にはそれだけで十分なんだよね。

MC:今日の見どころの一つは、ウィンキーで猛スピードでラインを駆け抜け、大きなレールターンを決める姿だった。
あれはどんな気分だった?

カノア:ウィンキーは正直、過小評価されていると思う。波の角度のおかげで、ここで生み出せるスピードは尋常じゃない。
常にウェッジのような状態で、最高に加速するんだ。

フリーサーフィンの時は、30秒間ライディングして、ずっと加速し続けてターンは1回だけ、なんてこともある。
最高に気持ち良くても、1回しかターンしてない感じ。
だから試合中は、アップ・アンド・ダウンを繰り返せと自分に言い聞かせる必要がある。そして、ここだというセクションが見えたら、またラインを猛スピードで駆け抜ける感じだよ。
自分のサーファー脳が、大きなラインを描きすぎようとするのを抑えるのが大変だね。

MC:アレホは危険な相手だったけど、次のヒートは親友のグリフィン・コラピント。
新世代のライバル対決になるね。

カノア:まずアレホだけど、彼はこのスポーツのレジェンドの一人。ずっとツアーにいて、今年が最後の年として戻ってきた彼を凄いリスペクトしている。
彼と同じ海に入れたことは光栄だったよ。

次のグリフィンとの対戦は、全く正反対の雰囲気になりそう。二人ともまだツアーでは若手でフレッシュ。ゲームプランはいつも同じだけど、見ている人にとっては今回と雰囲気が違うだろうね。互いに相手が誰でも関係ないとは言いつつも、チラッと見てニヤッとして、絶対負かしてやると思っている、そんな関係なんだ。

最後に日本語で「みんないつも応援ありがとうございます。今日は大切なヒートで、ここからが本当の勝負のスタートって感じです。QFは明日か明後日なので、楽しみです。このまま頑張っていきます。応援ありがとうございます」とメッセージを送っていた。

最強ブラジリアン対決を制したのは?

(ヒート終了後のイタロとギャビー)
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メンズR3で最も注目されていたカード、ガブリエル・メディナとイタロ・フェレイラの最強ブラジリアングーフィーフッター対決は、期待を裏切らない白熱した勝負になった。

ヒート序盤からアクセル全開の両者はターンとエアーでスコアを重ね、ガブリエルが流れるような止まらないサーフィンで7.27と8.33を出し、トータル15.60。
イタロも7.83を出したが、バックアップを伸ばせず、この勝負はガブリエルに軍配が上がった。

「海は本当に穏やかだけど、波が来れば最高に楽しいよ。自分のベストウェーブは長い波だった。とにかくミスをしたくなかったから、8ポイントを出せて満足している。神様に『ああ、どうか8ポイントを取らせてください』って祈っていたんだ。だから本当に嬉しい。イタロは素晴らしいサーファーで、彼のサーフィンの大ファンなんだ。彼との対戦はいつもタフだけど、今回は自分に運が向いたね。彼のような選手と戦うのは大変だから、賢く立ち回らなきゃいけない。戦略的にプレーしようと努めたよ。これで大きな自信がついた。ヒートに勝つのはいつだって気分が良い。こういう場所では、自分ともう一人の二人だけでサーフィンしたいと思うものだよね。目標は、ファイナルまで『もう一回、もう一回』とヒートを勝ち上がること。ラインナップを二人だけで独占できるからね。実はそれが最高の気分なんだ」

PHOTO: © WSL/Ed Sloane
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(イタロ・フェレイラ)
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好調なエイドリアーノチーム

(エイドリアーノチーム)
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メンズR3のハイエストヒートスコアを出したのは、ガブリエルと同じエイドリアーノ・デ・スーザをコーチにしているミゲル・プーポ。
返り咲き組のジョージ・ピッター(AUS)が7ポイント台を3本も出してトータル15.60をまとめて主導権を握っていたが、終盤にミゲルがバックハンドで8.50と8.27を立て続けに出してトータル16.77でキャリア2度目のQF進出を決めた。

「自分のボードにも、ベルズで積み重ねてきた練習にも自信はあったんだ。とにかく、波が必要だと思っていた。エイドリアーノの方を見ると、彼は『もっと深い位置にいろ、もっとデカい波が必要だ。それだけだ。サーフィン自体は仕上がっているぞ』って合図を送ってくれたんだ。それで2本のセットを掴んで、勝負を決めた。ジョージは素晴らしいサーファーで、特にライトのポイントブレイクでは最高。彼ならトータル15ポイントは出してくるだろうと分かっていたから、自分はトータル16ポイント出さなきゃいけないと覚悟していた。あとは波が来てくれるのを祈るだけだったよ」

(ミゲル・プーポ)
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ミゲルは次のQFでバロン・マミヤ(HAW)と対戦する。
ガブリエルはミゲルの弟、サミュエルとのブラジリアン対決となる。

その他、ヤゴ・ドラ(BRA)とレオナルド・フィオラヴァンティ(ITA)が対戦。
レオナルドはベルズ戦を2度も制覇しているフィリッペ ・トレド(BRA)に追い込まれながらも、残り数分で8.50を出して逆転に成功。
この日一番の番狂わせと話題になった。

(エイドリアーノとミゲル)
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(弟のサミュエル)
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(レオナルド・フィオラヴァンティ)
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カリッサを倒したディフェンディングチャンピオン

(イザベラ・ニコルス)
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今シーズン、ステファニー・ギルモア(AUS)とカリッサ・ムーア(HAW)がCTに復帰して次世代のウィメンズと渡り合えるのかが話題になっていたが、二人にとって開幕戦から厳しい試練に直面している。

ステファニーはR1で敗れ、カリッサはR2でディフェンディングチャンピオンのイザベラ・ニコルス(AUS)に敗退。
ただステファニーは波が悪く、カリッサは内容が悪くなかったので、次のマーガレットリバー戦は違う展開になるかもしれない。

「ソーヤーとカリッサが対戦した後の対戦表を見て、自分にとってかなり厳しい組み合わせになるのは分かっていたわ。私にとって、80%の力でサーフィンする選択肢は最初からなかった。このヒートは100%全開でいくしかないって思っていたけど、実はその方が良いこともあるの。ミスは許されない。特に波数が少ない時はね。本当に正しい波を選ぶ必要があったけど、それってチェスの試合みたいで、実は凄い楽しいと感じた。今大会で何が起きようと、ここにいられるだけで本当に嬉しい。みんな知っている通り、オフシーズンが長かったから。様々な感情が積み重なっていたわ。みんな、もう自分のヒートを10回以上は頭の中でシミュレーションしていたはず。私も寝ている時も起きている時も、あのヒートのリハーサルを何度もしていたから、そうね、ようやく終わってホッとしているわ」

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(内容は悪くなかったカリッサだったが…)
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(レイキー・ピーターソン)
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(エリン・ブルックス)
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その他、レイキー・ピーターソン(USA)が一回りも年下のエリン・ブルックス(CAN)とのお互いに8ポイント台を出した激しいクロスゲームを制し、次ヒートではケイトリン・シマーズ(USA)がルーキーのナディア・エロスタルベ(EUK)を倒した。

14年間のツアー歴でまだ一度も手に入れていないベルズ戦でのトロフィーを暖炉の上に置く想像をしているレイキー。
QFに残った最年長として若手を倒し続けることができるのか?

次は現ワールドチャンピオンでベルズ戦でも絶好調のモリー・ピックラム(AUS)と対戦する。

ネクストコールは現地時間4月10日の朝7時45分(日本時間同日6時45分)で20分後に再開予定。

WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/

Rip Curl Pro Bells Beach Women’s Round Two Results
HEAT 1: Alyssa Spencer (USA) 14.00 DEF. Caroline Marks (USA) 11.20
HEAT 2: Bettylou Sakura Johnson (HAW) 10.93 DEF. Anat Lelior (ISR) 6.76
HEAT 3: Gabriela Bryan (HAW) 15.66 DEF. Francisca Veselko (POR) 6.00
HEAT 4: Luana Silva (BRA) 15.26 DEF. Tyler Wright (AUS) 13.76
HEAT 5: Molly Picklum (AUS) 16.50 DEF. Sally Fitzgibbons (AUS) 7.34
HEAT 6: Lakey Peterson (USA) 15.83 DEF. Erin Brooks (CAN) 15.23
HEAT 7: Caitlin Simmers (USA) 11.20 DEF. Nadia Erostarbe (ESP) 10.56
HEAT 8: Isabella Nichols (AUS) 16.27 DEF. Carissa Moore (HAW) 15.07

Rip Curl Pro Bells Beach Men’s Round Three Results
HEAT 1: Miguel Pupo (BRA) 16.77 DEF. George Pittar (AUS) 15.60
HEAT 2: Barron Mamiya (HAW) 14.00 DEF. Jordy Smith (RSA) 12.17
HEAT 3: Griffin Colapinto (USA) 13.43 DEF. Jake Marshall (USA) 11.66
HEAT 4: Kanoa Igarashi (JPN) 12.67 DEF. Alejo Muniz (BRA) 7.00
HEAT 5: Yago Dora (BRA) 12.67 DEF. Marco Mignot (FRA) 12.33
HEAT 6: Leonardo Fioravanti (ITA) 15.27 DEF. Filipe Toledo (BRA) 14.67
HEAT 7: Gabriel Medina (BRA) 15.60 DEF. Italo Ferreira (BRA) 14.66
HEAT 8: Samuel Pupo (BRA) 15.33 DEF. Rio Waida (INA) 12.80

Rip Curl Pro Bells Beach Women’s Quarterfinal Matchups
HEAT 1: Alyssa Spencer (USA) vs. Bettylou Sakura Johnson (HAW)
HEAT 2: Gabriela Bryan (HAW) vs. Luana Silva (BRA)
HEAT 3: Molly Picklum (AUS) vs. Lakey Peterson (USA)
HEAT 4: Caitlin Simmers (USA) vs. Isabella Nichols (AUS)

Rip Curl Pro Bells Beach Men’s Quarterfinal Matchups
HEAT 1: Miguel Pupo (BRA) vs. Barron Mamiya (HAW)
HEAT 2: Griffin Colapinto (USA) vs. Kanoa Igarashi (JPN)
HEAT 3: Yago Dora (BRA) vs. Leonardo Fioravanti (ITA)
HEAT 4: Gabriel Medina (BRA) vs. Samuel Pupo (BRA)

(黒本人志)

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