「リスペクトか、暴力か」カナリア諸島で起きた衝撃のローカリズム事件

アフリカ大陸北西沿岸に浮かぶスペイン領、カナリア諸島。

「欧州のハワイ」として世界中のサーファーを魅了するこの楽園で、深刻なローカリズム事件が発生した。

舞台はテネリフェ島のポイント「プンタ・ブランカ」

SNSで拡散された動画には、ローカルサーファーがビジターの顔面を殴打し、陸に上がってからも執拗に石を投げつける衝撃的な映像が収められていた。

後日、当事者であるローカルのティンティン氏は、暴力行為を謝罪しつつも「動画は真実の一部に過ぎない」と反論の声明を出した。
彼によれば、原因はビジターによる「リスペクトの欠如」だという。

「彼らは自分たちのルールを押し付け、我々が何世代にもわたって守ってきた調和を乱した。リスペクトが消えれば、争いが生まれる」

彼はそう語り、オーバーツーリズムに揺れる現地の苦悩と、ローカルとしてのプライドを訴えた。

海は誰のものでもないが、サーファーには「郷に入っては郷に従え」という世界共通の不文律がある。
ビジターに求められる謙虚さと、決して許されない暴力。この事件は、世界中のサーファーに対し、旅先での振る舞いを改めて問いかけている。

他人事ではないオーバーツーリズム

このニュースは、決して遠い海外だけの話ではない。

日本国内に目を向けても、京都や鎌倉、そして一部の観光地で「オーバーツーリズム」が深刻な社会問題となっているからだ。

急増する観光客によるマナー違反、混雑、そして地域住民の生活への侵害。
「観光」「生活」のバランスが崩れた時、そこには必ず摩擦が生まれる。

今回のカナリア諸島での事件は、その摩擦が限界を超えた時に起こりうる、最悪のシナリオの一つと言えるだろう。

我々サーファーも、ボードを持てば一人の「旅人」となる。
それは遠くへのサーフトリップだけではなく、普段のサーフィンにも言えること。

素晴らしい波に出会うために必要なのは、パドル力やスキルだけではない。
その土地の文化、歴史、そしてそこで暮らす人々への深いリスペクトだ。

「自分たちは大丈夫か?」

石を投げつけられる映像の痛ましさは、我々自身の振る舞いを再確認するよう、強く訴えかけている。

@la.pulga.ale @Christian Mederos Tinoco ♬ original sound – Alexandra Caraballo

(染谷たかし)

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