Photo: WSL/ Ed Sloane

フィジー・クラウドブレイク、所有権を政府から地元に返還か

ニュージーランドの公共放送局「RNZ」やWebメディアによると、フィジー政府は、フィジー国内のサーフィンエリア私有化への道を開く新たな法案をを国会に提出する準備を進めている。もしこの法案が通れば、観光など商業目的で使われる海域の所有権が、元々の慣習的所有者である先住民コミュニティに戻され、ここ15年ほど続いてきた、フィジー国内のどのサーフポイントも誰でも自由にアクセスできる仕組みが廃止される方向に大きく舵を切ろうとしている。

これまでは2010年に発令されたサーフィンエリア規制令(Regulation of Surfing Areas Act 2010)によって、フィジー国内のサーフエリアの所有権は、補償なしで政府に一括して移された。目的は、クラウドブレイクなどの有名ポイントのリゾート専用化をやめ、どのサーフエリアも誰でも利用できるようにし、サーフ観光を活性化することだった。

その結果、ほぼ独占していた2つのリゾートの排他的利用が解消され、多くのサーファーとローカルが観光業に参加でき、アクセスもしやすくなったと思われてきたが、現内閣が新たに制定した海洋区域商業利用法案(Commercial Use of Marine Areas Bill 2025)は、2010年の法令を全面的に撤廃し覆すものとなった。

新法では、観光など「商業目的」で利用される海域の所有権を先住民コミュニティなどに戻すことを基本方針としており、先住民がこれら海域の管理・運営に積極的な役割を担うことで、より公正で、文化的背景にも配慮した収益とガバナンスの仕組みを目指すという。

クラウドブレイクを含むサーフエリアは、政府が誰にでも門戸を開いたエリアという位置づけから、慣習的所有者が権利を持つこととなり、観光事業としてどう利用するかを決定するための積極的な関与が期待されている。今後はふたたびリゾートやローカルコミュニティが一定の独占的・優先的利用権を持つ形になるため、アクセス条件や料金、ボート運行などがこれまでより限定的で管理された形になる懸念と同時に、先住コミュニティの権利回復と収益向上への期待が並存する状況と言えるかもしれない。

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