(参加した3シーズン連続で2カテゴリー優勝を決めた荒木珠里) Photo: ISA/Sean Evans

日本代表が10個のメダルを獲得して団体総合3位に!『2025 ISA World SUP and Paddleboard Championship』

11月10日〜15日にエルサルバドルのエル・スンザルでSUPとパドルボードのISAイベント、WSUPPCこと『2025 ISA World SUP and Paddleboard Championship』が開催された。

日本は団体総合で2023年に3位、2024年に2位になった強豪国。
今年も大活躍して3位となり、銅メダルを獲得した。

(団体総合で銅メダルを獲得した日本代表)
Photo: ISA/Pablo Franco

日本代表が三つの金メダルを含む合計10個のメダルを獲得

(堀部由利香) Photo: ISA/Pablo Jimenez

昨年、個人で7個のメダルを獲得。
チームリレーで金メダルを獲得して団体総合で銀メダルを獲得していた日本代表。

今年は荒木珠里が二つの金メダル。
堀部由利香が金メダルと銀メダル。
野村颯が銀メダルとクーパーメダル。

福田カポノ、平田凪人が銅メダル。
平田乙乃がクーパーメダルを獲得。

個人で9個のメダル、団体総合で銀メダルを獲得し、合計10個のメダルを日本に持ち帰ることになる。

Photo: ISA/Pablo Franco

19歳の荒木珠里が快挙を達成

(荒木珠里) Photo: ISA/Pablo Jimenez

今年も大活躍だった日本代表の中でも、19歳の荒木珠里はSUPテクニカルレース、SUPディスタンスレースの2カテゴリーで金メダルを獲得。

荒木珠里は2022年、2023年にも2カテゴリーで金メダルを獲得(2024年は不参加)しており、参加した3シーズンで連続金メダル獲得という快挙を達成した。

2位以下に大差をつけ、合計6個目の金メダルを獲得したSUPディスタンスレース後のインタビューでは、「2つ目の金メダルを獲得できてとても嬉しいです。3つの金メダルを取るのは本当に難しいと分かっています。簡単なことではありませんが、今年は挑戦したいと思います」とコメント。

ファイナルデーにはもう一つのメダルをSUPスプリントレースで狙ったが、SFで敗退となった。

堀部由利香はパドルボードのテクニカルレースで銀・銅・カッパーを獲得してきたが、遂に念願の金メダルを手に入れた。

(SUPテクニカルレースでの荒木珠里)
Photo: ISA/Pablo Jimenez
(念願の金メダルを手に入れた堀部由利香)
Photo: ISA/Pablo Jimenez

スペインがタイトル防衛に成功

(2連覇を達成したスペイン代表)
Photo: ISA/Pablo Franco

ファイナルデーはSUPスプリントレースが行われ、接戦だった団体総合の順位に決着がついた。

ウィメンズはプエルトリコのマリエカルメン・リベラ、メンズはデンマークのクリスチャン・アンデルセンが待望の金メダルを獲得。

団体総合ではスペインのアルバ・フレイがウィメンズの銀メダル。セルジオ・カントラルが銅メダルを獲得して2位のフランスとの差を守りきり、2024年に獲得した初のタイトルの防衛に成功した。

スペインのメダル獲得数は11個。その内の3つはアルバ・フレイが獲得したもので、スプリントの銀に加え、SUPディスタンスレースの銅、SUPテクニカルレースのカッパーを手に入れた。
チームメイトのドゥナ・ゴルディーヨ、ジュディット・ヴェルヘスによる2つの金メダルも大きく貢献した。

待望の金メダルを獲得したプエルトリコのマリエカルメン

(マリエカルメン・リベラ)
Photo: ISA/Pablo Franco

SUPスプリントレースのウィメンズで金メダルを獲得したマリエカルメン・リベラは、ISAで出場したレースのほぼすべてでメダルを獲得してきた強豪だが、唯一金メダルだけは手に入れたことがなかった。

今イベントではSUPテクニカルとディスタンスの2種目で銀メダルを獲得。
SUPスプリントではSFでのミスを挽回し、ファイナルでは圧巻の勝利を収めた。

「最高の気分よ。長い1週間で、多くのレースがあった。テクニカルとロングディスタンスでは2位だったけど、スプリントで遂に金メダルを手にいれることができて本当に嬉しい。ISAで初めての金メダルよ。ずっと欲しかったの。ゴールするまでレースは終わらないという気持ちで臨んでいるので、いつも全力で、100%を出し切る。だから、落ち着こう、感情を入れすぎないようにしようって自分に言い聞かせていたわ。いつもレース中は感情を抑えて、機械のように淡々と走るようにしている。でも砂にタッチした瞬間、すっと力が抜けて、『終わった、終わった、遂に手に入れた』って思ったわ」

デンマークの軌跡を辿ったクリスチャン

(クリスチャン・アンデルセン)
Photo: ISA/Pablo Franc

SUPスプリントレースのメンズはデンマークのクリスチャン・アンデルセンが同じく初の金メダルを獲得。

ファイナルはスペインのセルジオ・カントラルとの争いとなり、互角のスタートからブイを同時に回ったが、セルジオがミスをした隙にクリスチャンが一気に抜け出した。
カントラルが体勢を立て直す間にフランスのイーサン・ブライが2位に浮上。二人は追い風で加速し、トップとの差を詰めたが、クリスチャンを捉えることができなかった。

「もう言葉が出ないよ。本当に言葉にならないね。ここに来るために沢山のことを犠牲にしてきたし、人生の多くをこのスポーツに注いできた。今日は自分を信じていたし、できると思っていた。6年前にここでジュニアとして金メダルを獲得して、そして6年後の今、大人になってまた金メダルを取るなんて、ものすごく感慨深い瞬間さ。メンタル面で本当に大きく成長したし、今は以前よりずっと強くなったと感じている。技術やレベルは足りていたのに、ファイナルに残れたことで満足してしまっていたところがあった。でも、そこに満足してしまうと、今のような“勝ちに行く気持ち”では戦えないんだと思う。本当に特別な瞬間だよ」

2019年、19歳の時にエルサルバドルで開催されたWSUPPCのジュニアSUPテクニカルレースで優勝。
国際舞台でその名を知られるようになり、その後は昨年のデンマーク大会も含めて2度ファイナル進出を果たしてきた。
24歳になった今年、念願の金メダルを手に入れた。
また、荒木珠里が優勝したSUPテクニカルレースでは2位に入っていた。

クリスチャンは2016年、2017年とSUPスプリントレースの2連覇を達成したデンマークのキャスパー・スタインファスの軌跡を辿る形となった。

ISA会長のフェルナンド・アギーレ氏のスピーチ

なんて素晴らしい大会でしょう。

そしてエルサルバドルへの驚くべきカムバックです。
皆さんの中には覚えている方もいるかもしれませんが、2019年にここで初めてISAの大会を開催しました。

そのときは準備期間は僅か60日で、この大会を成功させました。
彼らは物事を、迅速かつ情熱を持って成し遂げる方法を知っています。

エルサルバドルの政府、国民、スポンサー、主催者、そしてすべてのボランティアの皆さんに感謝します。
もちろん、全チームとメダリストの皆さん、おめでとうございます。

なんて素晴らしい国、なんて素晴らしい1週間、そしてサーフィンの世界にとって信じられないほど価値ある舞台の追加です。

ムーチャス・グラシアス、エルサルバドル。

次のISAイベントは12月5日〜14日にペルーで開催される『ISA World Junior Surfing Championship』

『2025 ISA World SUP and Paddleboard Championship』結果

団体総合結果
1位 スペイン 
2位 フランス
3位 日本
4位 ブラジル

Men’s SUP Surfing
Gold – Luiz Diniz (BRA)
Silver – Max Torres (PUR)
Bronze – Kapono Fukuda (JPN)
Copper – Tamil Martino (PER)

Women’s SUP Surfing
Gold – Vania Torres (PER)
Silver – Lucia Cosoleto (ARG)
Bronze – Aline Adisaka (BRA)
Copper – Gabriela Sztamfater (BRA)

Boy’s Junior SUP Technical Race
Gold – Eliott Bry (FRA)
Silver – Ruben Cantoral (ESP)
Bronze – Nagito Hirata (JPN)
Copper – Giulio Lazzarini (ITA)

Girl’s Junior SUP Technical Race
Gold – Csillag Virág Kocsis (HUN)
Silver – Ines Blin (FRA)
Bronze – Soryn Preston (USA)
Copper – Otono Hirata (JPN)

Men’s Prone Technical Race
Gold – Mael Tissier (FRA)
Silver – Lukas Pohlman (USA)
Bronze – Carlos Alonso (ESP)
Copper – So Nomura (JPN)

Women’s Prone Technical Race
Gold – Yurika Horibe (JPN)
Silver – Judit Verges (ESP)
Bronze – Thais Delrieux (FRA)
Copper – Flaminia Monti (ITA)

Men’s SUP Technical Race
Gold – Shuri Araki (JPN)
Silver – Christian Andersen (DEN)
Bronze – Guilherme Reis (BRA)
Copper – Nicolò Ricco (ITA)

Women’s SUP Technical Race
Gold – Juliette Duhaime (ARG)
Silver – Mariecarmen Rivera (PUR)
Bronze – Duna Gordillo (ESP)
Copper – Alba Frey (ESP)

Women’s Prone Distance Race
Gold – Judit Verges (ESP)
Silver – Yurika Horibe (JPN)
Bronze – Thais Delrieux (FRA)
Copper – Lizette Perez (ITA)

Women’s SUP Distance Race
Gold – Duna Gordillo (ESP)
Silver – Mariecarmen Rivera (PUR)
Bronze – Alba Frey (ESP)
Copper – Csillag Virág-Kocsis (HUN)

Men’s Prone Distance Race
Gold – Mael Tissier (FRA)
Silver – So Nomura (JPN)
Bronze – David Buil (ESP)
Copper – Andrea Rossi (ITA)

Men’s SUP Distance Race
Gold – Shuri Araki (JPN)
Silver – Ethan Bry (FRA)
Bronze – Nicolò Ricco (ITA)
Copper – Itzel Delgado (PER)

Women’s SUP Sprint Race
Gold – Mariecarmen Rivera (PUR)
Silver – Alba Frey (ESP)
Bronze – Cecilia Pampinella (ITA)
Copper – Roseli Krepel (BRA)

Men’s SUP Sprint Race
Gold – Christian Andersen (DEN)
Silver – Ethan Bry (FRA)
Bronze – Sergio Cantoral (ESP)
Copper – Nicolò Ricco (ITA)

ISA公式サイト:https://www.isasurf.org/

(黒本人志)

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