「試合好きな自分の気持ちに素直に」松田詩野、2021年を振り返る

12月27日、松田詩野がビラボンストア湘南で報道陣の取材に応じ、2021年を振り返った。

松田詩野は、2019年のISAワールドサーフィンゲームスでアジア最高位となり「条件付」で東京オリンピックの出場権を獲得。五輪最終選考となる2021年6月の同大会(エルサルバドル)で、41位タイとなり、日本女子勢では3番目。より上位についた前田マヒナと都筑有夢路に、各国男女各2名という五輪代表の座を奪われることとなった。

同じく、条件付五輪出場権を得ていながら代表の座を逃した村上舜とともに、条件付き内定を得てから2年弱、日に日にメディア露出も増えていた松田詩野。日本代表としての期待も高まっていただけに、この展開には本人だけでなく見ていた多くのファンも悔しい思いを抱いただろう。

しかし、オリンピック後のチャレンジャーシリーズでは、日本選手最高位となる17位でフィニッシュ。既に気持ちを切り替え前に進んでいる。

松田詩野インタビュー

改めて2021年を振り返って

この1年は苦しい部分もあったり、それでも今までにないような長くも感じたけど濃厚な一年でした。

ISAワールドサーフィンゲームスで五輪を逃した当時の気持ち

サーフィンだけに集中して、五輪を目標にしていたので悔しくて辛かったです。周りも上達していて、その経験があったからこそもっとこれから必要なことが明確になった。全ての経験が自分の目標への強い原動力になりました。感情面でも環境面でも沢山の経験が出来ました。

一番悔しかったタイミング

応援して下さってた方の期待に応えられなかったのが一番悔しかったです。自分自身も悔しいけど、ここまで応援してくれたり、夢をかなえるために一緒に来てくれた方が沢山いたので。でも、その結果であっても引き続き応援してくれる方の有難みを実感できたので、それは自分の人生の中で経験できてよかったと思います。

気持ちを切り替えるのに時間がかかったか?

オリンピックやCTに向けて同じ練習量だけじゃだめだとわかり、一人じゃすぐ行動に移せなかったと思いますが、一緒に夢にむかってくれる家族だったりスポンサーがいたので、周りの人達のおかげですぐ次の目標へ移れたと思います。

ぐっときた励ましの言葉は?

自分以上に落ち込んだ人もいたと思うけど、それでも(試合後)すぐメッセージをくれた人には感謝しています。この結果で「応援し終わった」というわけではなくて、練習過程とかを認めてくれて、「まだまだ次がある」という言葉には救われました。

自分に足りなかった部分

(エルサルバドルでは)代表枠を取りに行くっていうよりも、オリンピックで良いサーフィンを見せたいとかイメージしていたので、当時はもっと目の前のことに集中するべきだったかなと、今は思います。
自分の素直な気持ちは、試合が好きなので、試合で優勝してその結果を通じてサーフィンの素晴らしさを伝えていきたい。「良いサーフィンを見せよう」と思う前に、自分の気持ちに素直になっていくことが大切かなと思います。

オリンピックはどのような気持ちでみていた?

あむちゃんの銅メダルは自分も嬉しい。もちろん自分がメダルを獲りたかったので悔しさもあるけど、日本の国旗を背負ってあの舞台で戦ってくれたというのは、サーフィンシーンにおいても歴史的なことだと思う。パリオリンピックでメダルを目指すときも、あむちゃんとカノアくんがメダルを2つ獲ったということは、日本チームの自信につながる。そのメダルを金色にしようっていう気持ちで戦えると思う。

2019年のISA終わってから、自分がオリンピックで戦うということをずっと想像していたので、そこに自分がいない悔しさはあったけど、国を背負って戦うというプレッシャーもわかるので、そこで戦うというのは凄いこと。サーフィンに凄くいい影響をもたらしてくれたと思うので感謝しています。

オリンピックを目指すなかで得たもの

自分が絶好調の時も、悔しい結果で終わったときも、変わらず応援してくれる人への有難みを凄く実感しました。その人達がいなければ、常に前を向いて進める訳じゃなかった。

CSで刺激を受けた選手

カリッサ・ムーア選手は、どんな大会でもベストを出そうとしている姿勢が伝わってきてリスペクトしています。

シェイパーを決めずに乗る選手も増えているなかでずっとyuにこだわる理由は?

自分が一番信用できている板。特に波がでかい時は調子いい板に巡り合えることが多いので乗っています。

今後強化したいこと

CSを周っていて、サイズのある波ではパワーサーフィンが大事になってくる。CTに入れば殆どが頭半での戦いになるので、そこで戦える体力とパワーをつけるために、有酸素トレーニングとか体幹トレーニングとかをしっかりスケジュールに落としてやっています。

メンタル面では、これまで試合前は自分の気持ちを強く持って頑張ろうと思っていたけど、それは自分で気持ちを作り上げていることなのかなと思った。練習やトレーニングやり切ったと思って試合に挑めば、自然とわくわくと自信に満ち溢れて試合に挑めるはずなので、そういう状態をこつこつと作り上げていきたい。

1年で一番嬉しかったこと

ここ最近自分のよい自信も取り戻して、来年に向けてわくわくしている自分がいる。CSで得た自信もすごくあり、大会でいいサーフィンが出来た。
ハワイでの最終戦で、結果自体はよくなかったけど、一緒に練習してた子がクオリファイして、練習では負けてなかったので自分もいけるなと思った。CTが今までより近くに感じました。

直近の目標

来年CSでトップ5に入ってクオリファイして、パリ五輪で活躍すること。ひとつひとつ自分に負けずに積み重ねていって、沢山の人に応援してもらえる選手になりたい。

どうしたら女性サーファーが増えるか?

冬とかもテンション上がるアイテムを私からどんどん発信していき、そこからサーフィンやりたいと思ってくれたら嬉しい。来年、サーフィンムービーももっと自分から出していきたいし、ウェットスーツや水着もコラボしてかわいいのを出していけたらいいなと思います。

(THE SURF NEWS編集部)

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