バートンがチャネルアイランズを売却、再びメリック家の元へ

世界屈指のサーフボードブランド「チャネルアイランズサーフボード(CI Surfboards)」は親会社のバートン(Burton)から売却され、創設者の息子ブリット・メリックが率いるCI Surfboards LLCに譲渡されることが明らかになった。譲渡後も全従業員は会社に留まり、アスリートとの契約も既存の内容のまま継続となる予定だ。


チャネルアイランズで25年にわたりゼネラルマネージャーを務めてきたスコット・アンダーソンは、14年間共に歩んだバートンからの独立について次のように述べた。

「私たちはバートンのみなさんと一緒に働けて本当によかったと思っている。チャネルアイランズのスタッフの多くは、大人になってから人生の大半をこの職場で過ごしてきたので、チームライダーと共に経営に移行する形態になるのも自然の流れだと思う」

豪Stab誌によれば、CI Surfboards LLCにはブリット・メリックや従業員のほか、デーン・レイノルズやグダスカス兄弟も一部出資しているという。

バートンへの売却、そして再びメリック家の元へ

アル・メリックと妻のテリーによって1969年にカリフォルニア州カーピンテリアで創業されたチャンネルアイランズは、アルの先見的で洗練されたシェイピング技術により世界トッププロから週末サーファーにまで信頼されるようになり、世界一流のサーフボードブランドとして名を築き上げた。

2006年にスノーボード界のリーダー、バートンの傘下に入り、スノーボードの技術や知識を駆使して、サーフボードの更なるパフォーマンスの限界に挑むことに専念した。

さらに、地元カーピンテリアで最新鋭の工場を設け、世界をリードするサーフボードのブランドとして販売網も拡大。バートン傘下でも、ブリットが父のレガシーを引き継ぎ、ヘッド・シェイパーとして活躍を続けている。

実績とパフォーマンスが物語る

チャネルアイランズはチームライダーと密に連携し過去40年間にわたり、ケリー・スレーター、トム・カレン、リサ・アンダ-ソン、アドリアーノ・デ・スーザ、そしてソフィア・ムラノビッチといったサーファーたちを、20回も世界チャンピオンの座に導いた。現在そのレガシーを礎として多くの若手プロサーファーが活躍している。

数々のサーフボードブランドがある中で市場トップの地位を保つのは容易なことではない。しかし、一流のチームライダーと幅広いレベルに向けたボードのデザイン、そして「メイド・イン・アメリカ」の信頼性のおかげで世界中のサーファーやメディアから高評価を得て、今年の収益は過去10年間で最高の水準にあると発表した。また、豪Stab誌の企画「Stab in the Dark」でも優勝して、2020年の読者アンケートでも最優秀サーフボードブランドに選ばれた。

CI Surfboards の新CEOとなるブリット・メリックはこう述べた。

「私は文字通り、父と母のサーフボード工房で育ったので、チャネルアイランズが世界有数のボードメーカーになるまで、両親、そして家族同然だった従業員たちがどれほど努力してきたかを目の当たりにしてきた。バートンと連携し知識や技術面でも大きく支援してもらったおかげでここカリフォルニア・カーピンテリアで世界最高のサーフボードを作り続けることができた。この度、ここで一緒に働いてきた長年の友人たちと共に所有権を買い取り、また当社トップチームのライダーと共に運営できる機会は、私にとって大きな夢だ。将来にどんなことが待ち受けているのかと、みな期待に胸を膨らませている。」

バートンからCI Surfboards LLC への譲渡は、通常のクロージング手続きを踏まえて2021年初めまでに完了する見込み。クロージング時点において、全従業員は会社に残る予定で、アスリートとの契約は既存の契約を変更することなく移行されるとのこと。日本での販売については、2020年12月31日をもってチャネルアイランズサーフボードジャパンが終了となり、その後については決まり次第発表される。

ジェイク・バートンの死とチャネルアイランズの独立

2006年の売却にはバートン創設者ジェイク・バートンのサーフィンへの熱い想いがあったそうだ。しかし、そのジェイクは癌との戦いの末に昨年逝去。これを受け経営陣はサーフィン部門を売却し、スノーボード一本に絞ることにしたようだ。
Stab誌はジェイク・バートンもいずれは経営がメリック家にもどることを望んでいたと報道している。Burtonのオーナーであるドナ・カーペンターは「私の家族、そしてBurtonの全従業員は、チャネルアイランズサーフボードの歴史の一幕であったBurtonの物語において、今回の合意が最高のハッピーエンディングだと考えている」と発表した。

ケン・ロウズ

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