(五十嵐カノア) PHOTO: © WSL/Masurel

五十嵐カノアが暫定首位に。コナー&ブリッサが優勝!サーフィンCS第3戦フランス

カリフォルニアのハンティントンビーチから始まり、ポルトガル、フランスのヨーロッパレッグ、最終戦のハワイ。
全4戦で争われるCS(チャレンジャー・シリーズ)は男子96名、女子64名の選手で構成され、主にリクオリファイを逃したCT選手やリージョン毎のQS上位選手が2022年のCTクオリファイを賭けて争うまさに選手生命をかけた挑戦。

優勝ポイントが10,000と大きいため、イベント毎にランキングに大きな変動が出やすく、3桁に近いランキングでも優勝さえすれば一気にクオリファイ圏内にのしあがることが可能だ。

クオリファイの条件はメンズが上位12名、ウィメンズは上位6名。
CTシーズンが終わってから4イベントが開催されるために選手としては集中しやすい環境に変わったが、狭き門であることに変わりはない。

エゼキエル・ラウ&ルアーナ・シルヴァの二人のハワイアンが優勝したポルトガルのCS第2戦『MEO Vissla Pro Ericeira』から2週間後、CS第3戦『Quiksilver Pro France』&『ROXY Pro France』がフランス南西部で開催され、現地時間10月23日にファイナルデイを迎えた。

ジェレミー・フローレスの功績を称えるエクスプレッション・セッション

今イベントでは8月に事実上のCT引退を発表したジェレミー・フローレスの功績を称えるエクスプレッション・セッションが行われていた。

引退セレモニー的なこのセッションには五十嵐カノアを始めとしたQuiksilverのチームメイトや、彼と仲の良い多くのサーファーが参加。
かつてケリーの側近を務め、レオナルド・フィオラヴァンティ(ITA)の継父でもあるベリーことステファン・ベルの姿もあった。

現在33歳のジェレミーはパートナーと娘のヒナヘイと一緒にタヒチで暮らしており、今後は家族、フリーサーフィン、次世代のフレンチサーファーのサポートに専念するそうだ。

ありがとう。
ジェレミー。

『Quiksilver Pro France』優勝はコナー・オレアリー

(勝負を決めたフロントサイドエアー)
PHOTO: © WSL/Masurel

フランス南西部・ヌーベル・アキテーヌ地方に位置するランド。
カプブレトン、セニョス、ホセゴーの3つの海辺の町に跨るビーチブレイクからその日のベストバンクを選んで進行した今イベント。

気まぐれなフランスのビーチブレイクの名の通り、フラットに近い日からストーム通過でクローズアウトした日まであり、ダブルバンクを利用して進行。
ファイナルデイはホセゴーの「Les Culs Nus」が舞台となり、頭サイズの潮回りで変わりやすいコンディションだった。

メンズサイドの『Quiksilver Pro France』はCSカレントリーダーのエゼキエル・ラウが最初のラウンドでまさかの敗退。
ヨーロッパ勢の強さが際立つ中、SFではオーストラリアのコナー・オレアリーと日本の五十嵐カノアが対決。
元JPSAプロの柄沢明美さんの長男でもあるコナーとカノアのゴールデンカードは6ポイントを2本まとめたカノアに対してコナーが5ポイントと最後に8.43を出して勝利した。

(ミシェル・ボウレズ)
PHOTO: © WSL/Masurel

ファイナリストはコナーとタヒチのミシェル・ボウレズ。

共に2021年はCTランキングからのリクオリファイを果たせず、CSでの成績が今後の選手生命にも影響する。
互いに6ポイント台のスコアで拮抗した勝負だったが、レフトでエアーをメイクしたコナーがリードを保って優勝。
2016年の南アフリカでのQS以来のメジャーイベント勝利を決めた。

「とても素晴らしい一日だった。文字通り世界の頂点に立ったような気持ちさ。これから最高のサポートをしてくれた仲間と一緒に楽しみ、早くビールを飲みたい!この調子で今年を締めくくりたいね」

2017年にCT入りを果たしながらも2018年には28位で脱落。
2019年はQSからやり直してランキング9位で返り咲きを果たしたコナー。

CSでは開幕戦のカリフォルニアで73位、次のポルトガルでは37位とこのフランスはまさに正念場だったが、今回の優勝で一気に94もランクを上げて6位とリクオリファイ圏内に入った。

五十嵐カノアが2度目の3位でカレントリーダーの座に立つ

(五十嵐カノア)
PHOTO: © WSL/Masurel

地元ハンティントンビーチで開催されたCS開幕戦『US Open of Surfing』で3位に入っていた五十嵐カノアはコナーとのSFに敗れながらも2度目の3位でCSのカレントリーダーの座に立つことに成功した。

カノアは2021年CTランキング8位ですでにリクリファイラインはクリア。
CS出場は必至ではないものの、ライバルが休んでいる間も走り続けることでCS最終戦のハワイの後にすぐに始まる2022年CT開幕戦にフルスロットルのまま挑むことができるし、翌年のルーキーの戦い方も確認できる。
サーフィンやコンテストが好きで目標はワールドタイトル獲得となれば、彼の行動は理に適っているのだ。

「今週は楽しい週だった!僕の意見ではQuiksilver Pro Franceは最も難しいイベントの1つ。だから、このイベントをトレーニングのための1週間として使い、来年のルーキーとどう戦うかを予め確認しておきたかったんだ。一緒に戦ってくれたコナー、ルーカ、エドガードに敬意を表します。ハレイワで皆さんの幸運を祈っています!今からまたトレーニングに励むよ」五十嵐カノア

(都筑有夢路)
PHOTO: © WSL/Poullenot

なお、カノア以外の日本人選手。
大原洋人、村上舜、稲葉玲王、西修司はRound of 96で全て敗退。
和井田理央は次のRound of 48で敗退。
ランキングでも6位だった村上舜が20位までダウンしている。

ウィメンズではRound of 16まで進んで9位に入った松田詩野が最高位で、ランキングでは前回より1ランクダウンの15位。
黒川日菜子、野中美波、脇田紗良はRound of 32で敗退。
都筑有夢路、前田マヒナはRound of 64で敗退した。

カノア以外の日本人選手は全てクオリファイ圏外だが、最終戦の結果次第ではまだチャンスが残されている。

『Quiksilver Pro France』結果
1位 コナー・オレアリー(AUS)
2位 ミシェル・ボウレズ(PYF)
3位 五十嵐カノア(JPN)、マテウス・ハーディ(BRA)
5位 マキシム・ハシーノ(FRA)、ルーカ・メシナス(PER)、カルロス・ムニョス(CRI)、フレデリコ・モライス(PRT)

2021年CSランキング
1位 五十嵐カノア(JPN) 15,500pt
2位 エゼキエル・ラウ(HAW) 14,250pt
3位 ジェイク・マーシャル(USA) 12,500pt
4位 イーマイカラニ・デヴォルト(HAW) 12,000pt
5位 ナット・ヤング(USA) 11,900pt
…20位 村上舜(JPN) 8,900pt

『ROXY Pro France』はブリッサ・ヘネシーが優勝

(ブリッサ・ヘネシー)
PHOTO: © WSL/Masurel

ウィメンズサイドの『ROXY Pro France』もカレントリーダーのガブリエラ・ブライアン(HAW)がファーストラウンドで敗退という番狂わせがあり、ランキング2位だったコスタリカのブリッサ・ヘネシーがダークホースのインディア・ロビンソン(AUS)とのファイナルを制して優勝。

CT選手のブリッサは序盤に手堅く6.83をスコアしてインディアにプレッシャーをかけながら4ポイント台を重ね、主導権を握って進行。
後半、インディアはニード6.28のシチュエーションでレフトを掴み、バックハンドで7.83を出すが、すぐにブリッサが優先権を利用して同じレフトを奪いインディアのバックハンドを上回るアクションで8.40をスコアした。

(インディア・ロビンソン)
PHOTO: © WSL/Masurel

「この優勝は本当に嬉しい。家族や友人の素晴らしいサポートがあったからこそよ。特別よね。インディアは対戦相手として脅威。彼女を誇りに思うわ。彼女もトップに立つ実力があるし、勝負は僅差だった。最後に波が変わり、良い波に乗ることが出来たの」

ポルトガルで5位に入っていたブリッサは今回の優勝でガブリエラを抜いてCSランキングトップの座を奪った。
コナー同様にCTランキングからのリクオリファイを果たせなかった彼女だが、見事に埋め合わせに成功した。

CS最終戦『Haleiwa Challenger』は11月26日〜12月7日にハワイ・オアフ島のハレイワで開催される。

(ファイナリスト)
PHOTO: © WSL/Masurel

『ROXY Pro France』結果
1位 ブリッサ・ヘネシー(CRI)
2位 インディア・ロビンソン(AUS)
3位 ソーヤ・リンドブラード(USA)、ケイトリン・シマーズ(USA)
5位 ディミティ・ストイル(AUS)、アリッサ・スペンサー(USA)、モリー・ピックラム(AUS)、ヴァヒネ・フィエロ(FRA)

2021年CSランキング
1位 ブリッサ・ヘネシー(CRI) 21,500pt
2位 ガブリエラ・ブライアン(HAW) 21,000pt
3位 ケイトリン・シマーズ(USA) 17,200pt
4位 インディア・ロビンソン(AUS) 13,300pt
5位 ソーヤ・リンドブラード(USA) 12,500pt
…15位 松田詩野(JPN) 10,500pt

WSL公式サイト:http://www.worldsurfleague.com/

(空海)

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