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イタロ・フェレイラ&キャロライン・マークスが優勝!2019年CT開幕戦ゴールドコースト

昨年はサイクロンからの大きなウネリが入り、2013年以来のキラで開催されたCT開幕戦だったが、今年はサイクロン到来のタイミングが早過ぎてしまい、メイン会場のスナッパーロックスは大量の砂が移動。
地形が深くなってしまい、期間中は大きなウネリも入らず、スウェルマグネットと呼ばれる隣のデュランバーが会場になった。

’QSのようなCT開幕戦’と比喩された通り、CTらしくないアベレージのビーチブレイク勝負。

直前にQS6,000『Vissla Sydney Surf Pro』にまで出場してウォーミングアップを済ませたケリー・スレーターも予想外の展開にR2で早々と敗退。怪我からの復帰戦を最下位で終えてしまった…。

R3ではディフェンディングチャンピオンのジュリアン・ウィルソンがトライアルから勝ち上がってきたリーフ・ヘーゼルウッズに敗れた一方、昨年2度目のワールドタイトルを獲得したガブリエル・メディナがビーチブレクのデュランバーでこれ以上ないようなエアリアルとターンのコンビネーションで他の選手を圧倒。
彼がR3でスコアした9.80、トータル19.13のハイエストは最後まで超える選手が居なかったが、自身もこのラウンドがピークとなり、R4以降は失速。QFでジョーディ・スミスにあっけなく敗退してしまった。

コロヘ・アンディーノ
PHOTO: © WSL/Cestari

ガブリエルの最大のライバルであるジョン・ジョン・フローレンスは怪我で2018年シーズンを棒に振った後の復帰戦。
ガブリエルとは対照的に後半にかけてペースアップ。波運に恵まれず、SFでコロへ・アンディーノに僅かな差で敗退したものの、開幕戦では自身の最高記録と並び、3度目のワールドタイトル獲得に向けてまずまずのスタートになった。

ジョン・ジョンを倒したコロヘのファイナルの相手はビーチブレイクではツアー1、2を争うブラジリアンのイタロ・フェレイラ。
コロヘは、2012年から8シーズン目に入ったカリフォルニアのベテラン。これまでにファイナルまで進んだのはブラジル、マーガレットリバー。そして、2016年の開幕戦。今回が4度目。

俗にカリフォルニアのサーファーはコンテストよりもサーフィン文化を重視していると言われている。
現にトム・カレン以来、カリフォルニアのサーファーでCTの優勝経験があるのは10年前のボビー・マルティネスだけで、そのボビーも変革期だったツアーに嫌気が差して過去に例がない去り方をした。

コロヘはボビーと違い、コンテストには前向きな姿勢でハードなトレーニングと早朝のサーフィンを欠かさない勤勉な選手だ。
だからこそ、再び巡ってきたCT初優勝のチャンスを応援していた人が多かっただろう。

開幕戦では初優勝のイタロ
PHOTO: © WSL/Dunbar

イタロとのエアリアル勝負はスタイルで見ればコロヘだった。
事実ファイナルでは僅差ながら終了間際までリードをしていたし、コンテストでは重要なプライオリティまで持っていたのだ。
会場のムードも、ほぼコロヘの優勝に傾いていた。
しかし、残酷にもラスト2分でイタロに波を乗らせてしまう判断が明暗を分けることに…。
コロヘの言葉を借りれば’ヒザ波’だったそのチャンスでイタロはエアーリバースをメイク、ニードスコアを上回ったのだ。

今年からシリーズ化したエアリアルに特化したイベント、『Red Bull Airborne』も制した彼を甘く見ていた訳ではないだろうし、イタロのあのエアーが本当に7ポイントだったのだろうか?という議論や、そもそも、バックアップ会場でジャッジスタンドが適切な位置ではなかったという意見もあるが、採点競技では今回のような微妙な判断が下された場合、何かと問題が生まれてくることが多い。
特に主観的なサーフィンでは過去に何度も同じようなことが起きているし、これからも変わりはないだろう。
例え、観客に中指を立てられてもジャッジがいなければサーフィンコンテストは成り立たないのだ。

どちらにしてもコロヘはまたしても勝利の女神から見放されてしまったが、表彰台ではプロらしく笑顔でイタロを称えていた。

「イタロとファイナルを戦えたことにストークしている。何度も波を見送り、最後の波もヒザしかなかったと思い、スルーしたのさ。彼はその波で決めちゃったのさ。本当に良くやったよ。まだシーズンは長いし、優勝を逃しても、最初のイベントで素晴らしい結果だよね。あと2分早ければ優勝だった。今回、アメリカ人サーファーが凄い活躍をして、それをうれしく見ていた。トップ3がツアーの全てのイベントを制してしまうなんて、うんざりだよな。みんなが優勝するために一生懸命努力している。それはこのスポーツにとって最高のことさ」
コロへ・アンディーノ

WSLはInstagramでファイナルのコロヘとイタロのエアリアルの比較動画を公開。
興味深いのはケリー、ステファニーを始め、多くの関係者がこのポストにコメントを残していること。

大原洋人は「もちろん、コロヘ。波が大きく、エアーの高さもあり、テールが回るスピードも早い」とコメントを残している。

 

 

 

 

 

 

 
 
 
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今年もブラジリアンがツアーを支配するのか? 

CT4度目、開幕戦では初優勝を決めたイタロ。
ファイナルで逆転を決めたエアリアルに対するスコアには強い批判を浴びていたが、今年からシリーズ化したRed Bull Airborneでは他のCT選手やチッパ・ウィルソン、ノア・ディーン、マット・メオラ、ミッチ・パーキンソン、カラニ・デイヴィッドなどの世界トップのフリーサーファーを相手に勝利を収めて勢いがあったし、彼のエアリアルが超一級であることは間違いない。

昨年、11戦中9勝と圧倒的な強さを見せていたブラジリアンが今年もツアーを支配するのか?
イタロ、ガブリエル、フィリッペがタイトル争いに絡んでくる可能性は十分にあるだろう。

「信じられないね。今年最初のイベントで優勝しちゃったよ。今日のような波では特にコロヘは強敵だし、勝てたのは運もあった。ブラジリアンサポーターの熱烈な応援に支えられたね。みんな愛しているよ〜!またジープリーダージャージを着用出来るなんて最高だけど、シーズンは長い。焦らずにこれから控えている沢山のイベントに集中しないとね。まずは来週からのベルズ。ハードなトレーニングを積んだ3ヶ月間の努力が報われて最初のイベントで優勝出来た。もう言うことはないさ」
イタロ・フェレイラ

4月17日〜27日にベルズビーチで開催される第2戦『Rip Curl Pro Bells Beach』は昨年引退試合となったミック・ファニングとファイナルを戦い、CT初優勝を決めたイベント。
イタロは黄色いジープリーダージャージを着てこのベルズを戦う。

ウィメンズの優勝は17歳のキャロライン・マークス

キャロライン&カリッサ
PHOTO: © WSL/Cestari

今まで「Quiksilver」&「Roxy」の2枚看板で行われていた開幕戦が今年は変わり、ウィメンズはアメリカが本社で現在はオーストラリアが中心の通信会社「Boost Mobile(ブーストモバイル)」が新たなスポンサーとなり、『Boost Mobile Pro Gold Coast』として再スタート。

男女賞金同額化の記念すべき最初のイベントを制したのは17歳のキャロライン・マークス。

マイク・パーソンズのコーチの元、昨年のルーキーイヤーから3度の3位、ランキング7位と活躍していた彼女は2019年の開幕戦で女王ステファニー・ギルモアを完璧に抑え、カリッサ・ムーアとのファイナルでも「マシーン」のように一貫してスタイルを崩さず、オッキーのようなバックハンドのターンを繰り返した。

「泣きそうなほど嬉しいわ。本当なの?言葉も出ないわ。このスポーツに名を刻むことが出来て最高ね。WSLには本当に感謝したいし、このウィメンズサーフィンのイベントに参加出来るのはとても素晴らしい。昔からカリッサはヒーローだし、今でもそれは変わりない。最初の優勝の相手が彼女だなんて嬉しすぎるわ。最初にこのイベントに参加したのはトライアル。あの時は最初のヒートで負けてしまったのに同じイベントで優勝するなんて信じられない。私の人生の中で最高のイベント、最高の一週間だった。残りのシーズン、まだやるべきことは沢山ある。でも、今この瞬間を間違いなく楽しむつもり」
キャロライン・マークス

オッキーのようなターンが武器のキャロライン
PHOTO: © WSL/Cestari

メンズCT#1『Quiksilver Pro Gold Coast』

1位 イタロ・フェレイラ(BRA)
2位 コロへ・アンディーノ(USA)
3位 ジョン・ジョン・フローレンス(HAW)、ジョーディ・スミス(ZAF)
5位 コナー・コフィン(USA)、セス・モニーツ(HAW)、ガブリエル・メディナ(BRA)、ウェイド・カーマイケル(AUS)

ウィメンズCT#1『Boost Mobile Pro』

1位 キャロライン・マークス(USA)
2位 カリッサ・ムーア(HAW)
3位 マリア・マニュエル(HAW)、サリー・フィッツギボンズ(AUS)
5位 ステファニー・ギルモア(AUS)、タティアナ・ウェストン・ウェブ(BRA)、セージ・エリクソン(USA)、ジョアン・ディファイ(FRA)

WSL公式サイト:http://www.worldsurfleague.com/

CT開幕戦ファイナリスト
PHOTO: © WSL/Cestari

(空海)

CT開幕戦の舞台 ゴールドコーストのコンテストの歴史やポイント解説

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