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「プロサーファーに明るい未来はあるのか?」- F+

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今年はやはり暖かかったんだろう。今頃になってあちこちで紅葉真っ盛りだ。千葉は暖地なので、紅葉は遅いのだが、今年はより遅れたような気がする。

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えっと、前回の続きね。プロサーファーに明るい未来はあるのか? だね。
まぁ、正直なところないだろうなぁ。まぁ、明るい未来というスケールも各方向にあるので、金銭面に限らないのなら、夢をかなえる、的な明るい未来はどのプロサーファーにでもチャンスがあるだろうとは思う。ただし、経済的にサーフィンだけで生涯食べていく、という話になると、ないだろうな、と思う。

CT選手にしたって明るい未来はその中のほんの数人だけだろうし、いつまでこのコンペバブルが続くのかも疑問だ。
今、CTサーファーの賞金額が昔とはゼロ二つぐらい違っているわけだけど、私はこれバブルなのかな、と思う。コンテストバブル。だって、それを支えるサーフィン業界がそんなにいいとも思えないし、だからと言って他業種からのお金が十分集まっているわけでもなく、サーフィンにかかわるマーケットの規模と賞金額がまるで合わない感じがする。たぶんWSLはお金に困ってるんじゃないのだろうか。

現状は投資的にお金を使って夢のようなパッケージをサンプルとして作り上げて売ろうとしている、というところだろうな。制作プロダクションからプールからツアーから、ファイナルズと、WSLはいろんな方面で派手に動いてはいるものの、今のところ投資した金額を思うように回収できていないようにしか見えない。

サーフィンだけで食べていけないのはプロとは言えない、と考える人もいるのだろうが、どの世界にも働くプロスポーツ選手はいるし、日本の選手のランキング界隈にいるQS選手たちはみんなオフには働いていると思う。海外の選手のほうが圧倒的に別の仕事で働くプロが多い。そういう意味では日本のプロサーファーは世界的に見てとても優遇されていると思う。

JPSAという組織設立時のメインの目的のひとつに、日本のプロがサーフィンで食べて行けるようにする、というのがあった。賛否あるだろうが、そういう意味ではJPSAというのはかなり効果的に機能し続けてきた団体といえる。

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かくいう私も昔は写真のがっちゃん(左)とみっくん(仲良しの近所の犬とうちの犬。写真はけんかではなく、けんかごっこ)のように、牙むき出してJPSAにほえたりしてたわけだけど、吠えていたメインの理由は、鎖国体質で世界につながらないという部分で、今となってみると、成立するなら鎖国もアリなのか、と思う。鎖国→国内でのぬるい戦い→世界のレベルから取り残される、という感じに考えていた時期もあったのだが、それで取り残されるのはそこで甘えている選手の問題であり、JPSAの問題ではないと近年考えている。

そういうぬるま湯の中で上昇志向を持つことも難しいけど、持つ人は持つので、JPSAがあるから日本人のレベルがあがらない、のではなく、JPSAに甘えてるからレベルが上がらない、のだろう。個々の選手の意識の高さ低さの問題でしかない、と思う。

Photo: JPSA

理想的にはJPSAがWSLとつながってひとつになる、というのが選手にとってはいちばんいいとは思うのだけど、JPSAにはJPSAの存在意義があるようだし、そのままWSLルールにのっとってWSLジャパンとはいかないようだ。まぁ、JPSAは選手や業界の自給自足的な構成なので、危機には打たれ強い側面を持っている。よって、今年も試合数は少ないものの、ツアーとして成立した。そういう草の根の営業力のようなものもJPSAの強みだと思う。国内ツアーをきちんと成立させられるJPSAの出口的な位置として、WSLのチャレンジャーにつながるのが理想ではあるけど、現在までその理想の形はできていない。

とはいえ、WSLだって永遠ではないかもしれない。今のビジネスモデルがうまくいかずに経営陣撤退ということになれば、次に誰かが引き継ぐという保証なんてない。WSL絶対神話のようなものがいつ崩壊しても私は驚かない。そうなればサーフィンはそのルーツであるドラッグと相性のいいカルチャーに戻るだけだ。

アフターコロナの時代、JPSA だとか、WSLだとかグチャグチャ言ってる場合ではないように思う。それが何であれ、賞金の出る試合があるだけありがたいと思うことだ。世界から見たら、あのレベルのサーフィンで賞金もらうって、どゆこと? なわけだから。

F+編集長つのだゆき

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